8月6日つまりはほとんど今日! 角川第一本社ビル2階で「ドラゴンブック新作TRPG発表会」が行われました。ここでベールを脱いだのは、F.E.A.R.と冒険企画局のオリジナル新作TRPGです。な、なんと、会場ではこの2作だけでなく、さらなる新作情報も飛び出しました。入手したばかりの最新情報をお届けします!
TRPG every day マスコットキャラクター

富士見書房のレーベルとして1985年に産声を上げた「富士見ドラゴンブック」。その30週年という節目を飾る新作TRPGが、次々に発表されました。
目玉となったのは、F.E.A.Rと冒険企画局の新作2本。いずれもスタンダードRPGシステムやサイコロ・フィクションといった汎用性の高いシステムを生み出し、作品を発表してきましたが、今回は完全新作とあって、さらなる期待の声が高まっていました。当日は、デザイナーである久保田悠羅氏(F.E.A.R.)、河嶋陶一朗氏(冒険企画局)の両デザイナーが自ら、新作の魅力や意気込みを語りました。

1.新作オリジナルTRPGの詳細が明らかに

『ガーデンオーダー』/久保田悠羅(F.E.A.R.)

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F.E.A.R.の新作「ガーデンオーダー」。ダブルクロスと同じ現代物だが、青空や溌剌としたキャラクターなど印象は大きく違う

発売日:2015年9月19日
予価:1600円
判型:B6版(リプレイ同梱。リプレイ執筆は菊池たけし)
著:久保田悠羅/F.E.A.R.
イラストレーター:ニリツ

F.E.A.Rの現代物といえば『ダブルクロス』が思い浮かびますが、本作は「もっと明るいイメージの現代が舞台」(久保田氏)とテイストが大きく異なります。
第二次世界大戦末期に突如として現れた、人類の天敵「ネフィリム」。時同じくして人類の中には超能力のような力「特性能力」を持つ人々が現れ始めました。人類はネフィリムに対抗するべく、国連関連組織として「GARDEN」を設立しました。そして現代、世界各国に支部を持つGARDENの一員、「オーダー」としてネフィリムと戦うのがプレイヤーキャラクターなのです。

○キャラクター
・PCが持つ「特性能力」は10種類(この他、主にNPCが使用する系統外1種も)。炎を操る、分子活動に干渉して氷結させる、相手の感情を操作する、物質を強化する、など
・「特性能力」はゲーム的な効果だけでなく、戦闘以外の場面でも柔軟に活用できる。たとえば「個体を気体にする能力を使って壁を気化させ、破壊する」のように演出可能
・能力値は身体、感覚、知力、意志、魅力の5種類
・技能制。それぞれ技能値という成功率を持つ

○システム
・コンビで活躍できる「バディ」ルールを採用。人間ドラマを盛り上げるとともに、ゲーム的にも、相棒となるバディのシーンに登場しやすい、バディをかばいやすい、バディ同士でのみ使えるスキルがあるなどのメリットあり
・プレイヤーの数が奇数であったり、バディは要らないという人のために「ソロスタイル」も用意。バディと連携できない分、自己の強化や物資の調達などが容易に

○判定
・D100(10面体ダイスを2つ)による%ロール
・100%以上の数値も可能。クリティカル値は技能値の1/5のため高いほどクリティカルしやすくなる
・戦闘で、武器の技能値が100%以上なら連続攻撃が可能。技能値100%なら50%と50%の攻撃、のように技能値を配分して判定する。連続攻撃してもクリティカル値は変わらないため、技能値が高いほど連続攻撃が脅威に
・初期PCでも技能値を150%まで上げることは可能

○JGC2015での先行体験
TRPGセッションwithFEARで参加可能(宿泊参加者のみ)
物販ルーム・KADOKAWAブースで2時間前後でプレイ可能な体験会も開催(当日参加者も参加可能)

神話創世RPG『アマデウス』/河嶋陶一朗(冒険企画局)

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冒険企画局としても久々の完全新作となる、神話創世RPG『アマデウス』は、“中二”力全開のTRPG

発売日:2015年12月20日
予価:1600円
判型:B6版(リプレイ同梱)
著:河嶋陶一朗/冒険企画局
イラストレーター:PALOW
画像に誤りがあり、正しくは上記とのこと。

サイコロ・フィクションや原作物TRPGなど多数の著作を発表してきた河嶋氏が久々という完全オリジナル新作の舞台は現代。といっても、「島根出身で、子供の頃から日本神話に触れてきて、いつか神話物をやりたいと思っていた」と河嶋氏が語るように、その世界の主軸となるのはあくまで「神話」です。
現代世界ながら、神話の片鱗が復活しつつある世界。片鱗は世界に災厄をもたらすというのに、常人は災厄に気付くことさえできず為す術もない。そこで、神の力を受け継いだPCたち──「アマデウス」だけが「神話災害」に対抗し得るのです。

○キャラクター
・神=RPGにおけるクラス。さらに「予言」を組み合わせてキャラクターを作成する
・「予言」は、創世の子(世界を生み出す)、災厄の子(世界を滅ぼす)などさまざま
・予言は、キャラクター作成の他にもセッションで、シノビガミの「秘密」のようにあらかじめ伏せて提示される予言もある。予言は「セッションの最後に死ぬ」などの恐ろしいものもあり、これらの予言に従うのか、抗うのか、PCは葛藤することになる
・能力値は数値ではなく「B」「A+」「S++」などのランク表示

イラストは、ゲームでクラスの意味合いを持つ神のイメージ。左がギリシャ神話の「ゼウス」、右が「ヘラ」

クラスの役割を持つ神のイメージイラスト。左がギリシャ神話の「ゼウス」、右が「ヘラ」。“中二”的な解釈によって神のイメージも従来と違うものばかりとのこと

○システム・判定
・6面体ダイス1~3個のうちから1つを選択+修正値で判定
・能力値のランクに対応してダイスを振る数が変動する
・使われなかったダイス目ごとに対応する「インガ」(マジック・トゥ・ザ・ギャザリングにおけるマナのようなもの)を生み出す。
・「インガ」は能力のリソースになる。アニメや特撮でヒーローが最後に必殺技を打つように、セッションのクライマックスでリソースが最大となるシステムを志向
・「インガ」はリソースに限らず、PCに不利な影響を与えるものもある。判定の成否だけでなく、場に増える「インガ」のコントロールがポイントに

○JGC2015での先行体験
・コンベンションに参加可能の他、最新情報発表会を行う(宿泊参加者のみ)
・物販ルーム・KADOKAWAスペースで体験会も開催(当日参加者も参加可能)
・当日はスターターブック無料配布。さらにウエブでも同日配信

両新作ともJGC2015で体験できる。『アマデウス』はスターターブックの配布も!

両新作ともJGC2015で体験できる。『アマデウス』はスターターブックの配布も!

発表を終えたデザイナーの両氏は、「TRPGというゲームの魅力を言葉で伝えるのは難しいが、今回は今までのF.E.A.R.のゲームにないものを作っている。ぜひ楽しんでほしい」(久保田氏)、「本当にひさしぶりなので新しいことに挑戦したいと思っている。“中二”力に、今までのRPGにない要素も盛りこむので楽しんでほしい」(河嶋氏)と自信を見せました。

2.既存シリーズも新作続々

さらに既存シリーズでも怒涛の新刊ラッシュが続くことが発表されました!

・グランクレストRPG
9/20 上級ルールブック
10/20 リプレイ かけだし君主の魔王修行2

・アリアンロッドRPG 2E
10/20 アイテムガイド2
11/20 リプレイ・アイテムマスターズ 刀鍛冶の用心棒

・ダブルクロス 3rd
8/20 リプレイ 春日恭二の事件簿
8/20 データ集 ヒューマンリレーション

・ソード・ワールド2.0
8/20 ルール&データブック フォルトゥナコード
8/20 リプレイ できそこないの転生伝承3
9/19 リプレイ サウザンドブレイブ
10/20 リプレイ Rock’n Role1
10/20 リプレイ ドラゴンスレイヤーズ

グランクレストRPGはついに「上級ルールブック」がお目見えします。初リプレイが高レベルキャンペーンという異色の展開だったグランクレスト。あのリプレイのような高レベルキャラクターの作成が可能になります。
ソード・ワールド2.0ではなんと15レベルという成長限界が解放されました。「フォルトナコード」ではキャラクターを16レベル以上に成長可能に。さらに16レベル以上となったキャラクターは「超越者」と呼ばれる存在となり、神や英雄と戦う新たなステージでの冒険に挑むことになります。
F.E.A.R.作品では、昨年アリアンロッドとコラボした「秋葉原カフェハッピーアベニュー」が、今度はダブルクロス 3rdと8月下旬からコラボカフェを開催。春日恭二のラーメン風パスタなど、文字通りファン垂涎のメニューが提供されるそうです。

3.さらに新作5本!富士見ドラゴンブック30周年ラッシュは続く

富士見ドラゴンブック編集部の細野君郎 副編集長は、「ドラゴンブックが30週年を迎え、TRPGの環境も以前とは大きく変わってきました。かつてリプレイでTRPGを知った方が多かったが、今はニコニコ動画でリプレイ動画が数多くアップされ、ランキングの上位になるほど人気になっている。そうしたシーンから新しい層がTRPGに触れて楽しみ始めている。この新しい層にアプローチしていきたい」と、TRPG層が変化・増加しているという認識を示しました。
こうした環境に先手を打つべく、同編集部では、グループSNEとも完全新作企画が進行中(発売時期未定)。さらに、F.E.A.R.、冒険企画局以外のデザイナーとも企画を進めており、「2016年8月までに4つの新作を発表したい」と明かしました。


という発表会レポートいかがでしたでしょうか?

富士見ドラゴンブック編集部では、初のTRPG新作発表会に加えて、ツイッターで一般参加者を募集するなど、事前からTRPGへの強い意気込みが感じられましたが、当日の印象はそれを上回るものでした。

特に印象的だったのが、新作の多さ。ここ1年間で同レーベルからの新作ルールブックが「フルメタル・パニック!RPG」1本(ただしSRSを採用しており完全新作ではなかった)だったことを考えれば、その差は明らかです。

また、新作『ガーデンオーダー』は新しいルールを盛り込みながらも、比較的シンプルなシステムで、短時間でも遊べるゲームという印象を受けました。D100判定を採用したことも含め、クトゥルフ神話TRPGのリプレイ動画に端を発した新しいTRPGファン層を取り込もうという強い意欲を感じます。発売日が楽しみです。

これからどんな新作が出てくるのか、9月のJGCから始まる怒涛の新作ラッシュに、これからも目が離せません!


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