熱海で2泊3日にわたって開催された「TRPGフェスティバル2018」(8/31~9/2)。今回は前回にも増してイベントが増えていました。同時にいくつも開催されていたため全部は回り切れなかったのですが、その一部をご紹介します!

■GM負担やオンセ・オフセの垣根などをタブーなく語り合ったユーザー企画

まずは記者個人としても、開催前から関心があったユーザー企画「TRPGの話をガッツリする部屋」(主催:幻界堂)から。参加者がTRPGで関心のある話題をカードに書き込んでもらい、それをランダムに取り上げて意見交換をしようというストレートな企画です。

実際、こういう機会でもなければ、垣根を越えてTRPGの話題を語り合うのは困難です。普段遊んでいるメンバーではプレイ環境が同じ人ばかり、twitterでは文字数制限もあって断片的なメッセージや表現のみが先行しやすく、議論の成熟は難しいと感じた方も多いのではないでしょうか。TRPGフェスは、コアなTRPGユーザーが多いとはいえ、国内各地から多様な参加者が来ていることもあり、それぞれのプレイ環境の違いが浮き彫りになっていました。

都心・地方、オフセ・オンセ、老若男女……多様な属性のTRPGファンが参加していた

盛り上がったテーマの1つが「GMの押し付けを防ぎ、GMを気軽にやる方法」。TRPGというとGMの負担は多くのシステムで課題となりがちです。参加者からは思いつく負担として「時間・場所の調整、用紙の用意などの事前準備」「管理するデータ量の多さ」「シナリオ」「アドリブへの抵抗感」などの声が上がりました。

地方の声として聞こえてきたのが「場所」の問題。都市ではイエローサブマリンなどプレイスペースをレンタルできる専門店もありますが、地方では近くにないケースが多いもの。一方で指摘されたのは、ボードゲームの流行もあっての公共施設の借りやすさでした。

「GMのデータ面の負担」でいえば、「PLのルール把握不足」が一因という声も。参加者のルール把握に差があった時に、GMでなく、PL同士でフォローし合えればGMの負担が減るという意見です。その中では、商業側への期待として「上向きのプレイヤーズガイドが欲しい」という声も上がりました。従来の商業側からのアドバイスは「こういうプレイは良くない」「こういうマナーは守ろう」というボトムアップが主でしたが、「何が良いプレイヤーなのか」という成長志向のアドバイスが欲しいという意見です。

また、「アドリブ」の負担でいえば、システムとの相性も指摘されました。新旧のTRPGシステムの違いとして「何を調べますか?」「調べられる項目に1、2、3があります。どれから調べますか?」というように、近年は後者のような選択肢を明示するシステムが主流になりつつあります。一方で、この傾向が行き過ぎてGMレスとなると「100人やっても同じゲームになる。それはTRPGなんだろうか」という問題提議もありました。

その他にも、「コンベンションでの初心者対応はどこまですべきなのか?」「同人TRPGの許容範囲はどこまで?」「オンライン/オフラインセッションの違い、共存の方法は?」など多様なテーマが積極的に語り合われました。

窓に貼られたホワイトボードシートにテーマや意見を都度書き込みながら議論を深めていく。アンケートも目安として活用し、参加者の意識に深く切り込んでいた

■LARPの多様な可能性を教えてくれた、教育LARP「安心からの脱出」

LARPというと中世西洋ファンタジーのイメージが強いものですが、「安心からの脱出」(主催:ビョーン=オーレ・カム氏、加藤浩平氏)で行われた「ノルディックLARP」は、「生活世界で重大な問題が起きた際に留まるのか、外界に出るのか」という社会的なジレンマを体験できました。

このため、プレイされた3つのシナリオはいずれも重いテーマばかりです。中世の農村で起きた謎の疫病事件、核戦争後のシェルター内で判明した食糧不足、引きこもりの青年が親の行方不明という事態に直面した際の心の中。PCの役割はシナリオで決められていて、例えば中世の農村シナリオでは、村長や神職、農夫といったキャラクター設定が用意されています。いくつかのシーン分けのもと、状況の変化や新たな情報の提示が行われるので、その都度、設定に沿ったロールプレイをしながら議論を深め、最良の決断を模索していきます。

参加者の理由も多様で、教育関係者、LARP関係者はもちろん、ゲーミフィケーションや脱出ゲームに関心があったり、SF好きだったからなど、さまざま。また、ノルディックLARPはゲームの枠に収まらない複雑なアプローチながら、LARPとしての魅力も健在であり、参加者は悩みながらもロールプレイを楽しんでいた様子でした。

ちなみにTogetterにも、この時の様子はまとめられています(リンク:外部サイト)。冒頭にはシナリオなどへのリンクも張ってあるので、興味ある方はご覧になってみてください。TRPG視点から見ても興味深い内容です。

自己紹介から始まり、まず参加者間の距離を詰めていくところから始まったノルディックLARP

■500円でボードゲームの話題作を3日間自由に遊べる体験会も

グループSNE主催によるボードゲーム企画も、3日間を通して人気でした。利用料金500円を払えば、開催期間中は話題のボードゲームを遊べる仕組み。しかもインストは、グループSNEの先生方という豪華なメンバーです。

グループSNEから発売した『グリッズルド』『シャドウレイダーズ』『CVポケット』の他、『アグリコラ』『テラフォーミングマーズ』『宝石の煌き』(リンク:いずれもAmazon)といった名作・話題作の数々も体験できました。

近年話題に上がることの多い作品を一挙に体験できるチャンス、しかも他イベントの合間に気楽に参加できることもあり、人の絶えない企画だった

■ただ振るだけでも楽しい「ダイス運段位認定試験」

フリープレイルームの一角で行われていたのが「ダイス運段位認定試験」。『ソードワールド2.0』や『クトゥルフ神話TRPG』、『ダブルクロス』など全5システムの判定を行い、その得点の合計値で段位を認定するというシンプルな企画です。ただ、運任せと言うなかれ。出目勝負は、多くのアナログゲーマーの心を震わせる勝負とあって、100名近くが参加していました。

段位を取得した参加者のハンドルネームは主催の「LIVE RPGをやってる奴ら(らいぶら)」のサイトで公開されています(リンク:ダイス運段位認定試験 特設ページ)。ここに掲載されているのはいずれも強ダイス運を持つ皆さんということ。対立型ゲームで一緒に遊ぶときは要注意ですね!

ダイスを振るたびに歓声(悲鳴?)が湧く。これもシンプルだがアナログゲームの持つ魅力の1つだろう

■書き下ろしシナリオも多数! 冒険企画局の太っ腹「シナリオバイキング」

冒険企画局の各作品のシナリオが1点ずつ用意され、好きなものを持ち帰れたのが「シナリオバイキング」。会場のテーブルには『サタスペ』から『クラヤミクライン』まで11作品のシナリオがズラリ。しかも、このシナリオは、書き下ろしや、過去のイベント限定で配布されていたレアなものばかりでした。1人3点までという制限はありましたが、このイベント内容をツイートすると追加で3点シナリオをもらえるルールを活用し、ごっそり回収していく人も見かけました。

配布シナリオを真剣に眺める参加者。シナリオはただの出力ではなく、上質紙に印刷されたもの。書き下ろしやイベント限定の蔵出しといい、さりげなく贅沢な企画だった

もちろん、ここでご紹介したのは本当に一部にすぎません。このほかにも、プロの落語家である三遊亭楽天さんによるTRPG落語リンク:ご本人によるtogetterまとめ)、2018年話題の新作『クラヤミクライン』(リンク:こかげ書店)世界をコメディたっぷりに体験できたクイズ企画「史上最大!異世界横断ウルトラクライン」、もちろん毎年恒例のトークショーなどなど、気になる企画が目白押しでした。ああ、体が3つか4つほしかった!


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