※記事中の写真キャプションに一部誤りがありました。LARP写真に添えた企画名は、正しくは「まるごとLARP体験会」ではなく「チュートリアル LARP from SW2.0LARP」です。訂正し、お詫び申し上げます。

2泊3日の宿泊型コンベンション「TRPGフェスティバル2018」ではTRPGやボードゲームはもちろん、非常に人気が高かったのが「WAR→P!」「LARP」などの五感や体を使った体験型ゲームです。その多くは、このTRPGフェスでなければ体験しづらいこともあり、ヘビーゲーマーたちから熱視線が注がれることに。

■ロードス島30周年とコラボした「WAR→P!」、中には全6公演コンプに挑む猛者も

何といっても存在感を放っていたのが「WAR→P!」。TRPGでいうNPCをプロの俳優が担当し、多数の参加者の行動によって劇の展開、結末までが変わっていくというライブ感の強い体験型イベントです。

正体隠匿ゲーム「人狼」を舞台化した「人狼 ザ・ライブプレイングシアター」(リンク:公式サイト)など、演劇を核としたエンターテイメントを提供するオラクルナイツが主催しており、TRPGフェス以外でも徐々に開催が増えつつあります。

昨年のTRPGフェスで開催された公演は、異世界の歴史が変わるという異常事態を受け、時空管理局のエージェントとして調査と事態収拾に挑むというSFファンタジー劇でした。1日ごに多数のクエストが用意され、自由に挑戦できる仕組みだけでなく、クエスト単位で参加することもできるとあって、初体験する人が続出しました。

今回はその参加形式が少し変わって、3時間公演を6回開催する形に。それぞれ独立した公演となっており、コンパクトになった分、集中的にWAR→Pを楽しめたようです。

何よりTRPGファンに刺さったのは、30周年を迎えた『ロードス島戦記』とのコラボレーションという点でしょう。開会式で特別公演されたオープニングでは、パーンやディードリットなどおなじみのキャラクターが登場し、盛り上がりました(参考:【TRPGフェス】ロードス島コラボのWARPが盛り上げた開会式、長老・鈴木銀一郎先生のビデオメッセージも!)

ストーリーは、第一巻である『灰色の魔女』を基としたもの。といってもWAR→Pなので、その展開が原作通りになるとは限りません。参加者の行動によって、ヴァリス、マーモ、フレイムといった国々の力関係が変わり、エンディングにも影響する仕組みでした。

大野屋の各地に点在するNPC。神官の言葉は、プレイヤーをどこに導くのか

こうした魅力もあって、各回とも多くの参加者がエンディングまで参加していました。話を聞くと、前回からのリピーターはもちろん、劇団や俳優のファンという人も。中には「全6公演、参加します!」と力強く語る女性参加者もおり、WAR→P熱の高まりを感じさせられました。

パーンとカーラが対峙するクライマックス! 原作通りの展開に思わず1ファンとして胸が熱くなった。アクションを交えた俳優の演技に加え、観客からの距離も近く、強い臨場感を覚える

■初心者から熟練者向けまで幅広く充実、成熟を見せるLARPイベント

WAR→Pはこのように没入感の強いアトラクションですが、ロールプレイや物語への関わりという点では受動的とも言えます。その点が能動的で、よりTRPGに近いゲームジャンルが「ライブアクションRPG(LARP)」。TRPGで行動宣言をするように、劇中の人物として体を動かし、ロールプレイして物語を創っていくという即興演劇の要素が強い遊びです。

衣装や武装に凝る人も多く、会場を西洋ファンタジーの住人のような衣装で練り歩く参加者が前年より増えた印象がありました。物販コーナーでもLARPグッズショップには人だかりが見られたほどです。

企画としても「冒険LARP From SW2.0LARP」「まるごとLARP体験会」などが、ほぼ常時開催されるほどに増加。LARPイベントを追いかけているだけでTRPGフェスを終えることも可能でした。王道的国産ファンタジーTRPG『ソードワールド2.0』のLARPルール「SW2.0LARP」が今年に発売されたこともあり、TRPGファンからの参戦もますます増えそうです。

LARPは自分=PCとなるだけに、衣装だけでなくロールプレイにも力がこもる。NPCを演じるGMもプレイヤーも自然な演技が印象的だった(チュートリアル LARP from SW2.0LARP)

また、TRPG尽くしだけにイベントの合間に、少しだけLARPを体験できるイベントも人気でした。その1つが「冒険者訓練所」。3時間以内であれば、何度でもLARP用の弓で的当てをしたり、教師役のスタッフと近接戦闘したりできるイベントです。

弾弓コースに挑戦する一般参加者。本格的なLARP衣装で、スタッフと見間違えてしまった

慣れてきたら、その腕試しとして「ファイターズランク試験」も用意されていました。ただし、近接戦闘は熟練のLARPプレイヤーが相手とあって、1本とることも容易ではありません。しかし、合格者に与えられる認定証バッチを狙って、挑戦する参加者が後を絶ちませんでした。

撃ち合った剣が弾かれるも、すかさず体勢を整えた参加者の剣がスタッフの胸に突き付けられた

■さらに本格的なバトルを味わいたいなら「アーマード・バトル」!

LARPもルールによっては激しい近接戦闘を楽しめますが、より実戦的なジャンルも今回のTRPGフェスには参戦していました。それが「アーマード・バトル」。実際に鋼の甲冑を着込んで、武器で殴り合うバトルスポーツです。

もともとLARPを日本に紹介した「キャッスル・ティンタジェル」(リンク:公式サイト)が紹介しているもので、会場では鎧の試着や、剣術の訓練を体験できました。武器で強く殴り合うため、展示されていた甲冑に所々へこみがあったのには驚かされました。

左:展示されていたアーマード・バトル用の甲冑。肩当てや腰下の甲冑部分は、個人の体形に合わせて作る必要があるという/右:試着体験では、兜、胴鎧、小手を身に着け、武器も持たせてくれた

 


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