あの電子の歌姫たちがTRPGに!? そんな驚きのシステム『初音ミクTRPG ココロダンジョン』の発売が8月19日と間近に迫ってきました。それに先立って開かれたメディア体験会で、一足先に触れられたゲームの内容を、早速紹介しちゃいます。舞台はココロの歌が重要な世界、PCたちが紡ぐ“ハーモニー”が大きな武器になるんです!
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8月19日に発売する『初音ミクTRPG ココロダンジョン』(著:冒険企画局)

電子の歌姫「初音ミク」がついにTRPGに! すでにご存知で、待ち遠しい方も多いのではないでしょうか。『初音ミクTRPG ココロダンジョン』(著:冒険企画局)が8月19日に発売となります。

初音ミクといえば、ニコニコ動画を中心としたユーザーの創作活動によって爆発的な人気を獲得した、ボーカロイドの代表的存在です。近年もアーケードやPS4で『初音ミク Project DIVA Future Tone』が人気を博しているなど、発売から10年がたった今なお高い支持を受けています。

ただ、初音ミク自体はあくまで音声エンジンであり、近年話題となった原作付きTRPGとは趣きが異なります。『艦これRPG』や『DARK SOULS TRPG』のように元からの世界観やキャラクターが決まっているわけではありません。それだけに、どうTRPG化したのかが楽しみなところ。発売に先立つ8月15日、東京・角川第三本社ビルで開かれたメディア体験会でいち早くその内容を確かめてきました。

◆ココロの歌を喰らう「オトクイ」と「オトダマ使い」が戦う世界

明かされた舞台は現代社会。少し違うのは、この世界の人々の心には誰しも大切な「歌」が流れているという点です。人々は自覚こそしていませんが、この歌を失ってしまうと記憶や感情が欠落して、正常に活動できなくなってしまいます。そんな「ココロの歌」を捕食する怪物が、PCの敵である「オトクイ」です。

PCもまたオトクイによって歌を失った存在でした。ただ、PCは、ココロの穴をオトダマ──初音ミクたちが埋めてくれたことで、例外的に活動できる存在、「オトダマ使い」になれました。彼女らの助力を得て、PCは自身のココロの歌を取り戻すべく「オトクイ」に立ち向かうことになります。

そんなPCは基本的に、「オトダマ」と「コア」の2つを組み合わせて作成します。「オトダマ」は初音ミクや鏡音レンなどから1つ選択。「コア」はPCが失った「ココロの歌」の曲調であり、「ホット」「ラブ」「エキセントリック」などの5種類から選べます。同じ人でも歌によって印象が変わるように、同じオトダマ使いでもコアによって印象=能力は変わるわけです。

初音ミクのイメージも、コアによって大きく変化する(左から、ホット、ラブ、ダーク。イラスト=ホット:猫魚、ラブ:松うに、ダーク:りゅうせー)。

ゲーム的には、オトダマやコアごとに違う特殊能力「ナンバー」を取得できます。このナンバーは、多くが実際の有名曲をモチーフとしたものとなっているので、ゲーム的な効果よりも好きな歌を探してそこからPCを考えてみるのも楽しそうです。

◆無音のココロダンジョンに「ハーモニー」を駆使して歌を蘇らせよう!

そんなPCで挑んだ、今回のシナリオは「ウミユリ海底譚」。疾走感と切なさを併せ持つナブナ(n-buna)氏の人気曲がモチーフになっています。GMは、ゲームデザイナーである河嶋陶一朗先生が担当してくれました。

 

セッションは、PCが何もない白い空間で目覚めるところから始まりました。そこにはPCの他に、青緑色の髪をツインテールにした少女──初音ミクがいました。彼女に教えられて、PCは自分たちが「オトクイ」という怪物に自分自身の歌を食べられたことと、オトダマという人類の味方がいることを知ったのです。

彼女に頼まれて、PCたち全員でオトクイが巣くった被害者のココロダンジョンに飛び込むことになりました。それには半信半疑ながら、ココロダンジョンでの出来事は一瞬で終わるという話もPCたちの背を押したのです。

そうして侵入したココロダンジョンの入り口は、海底に沈んだ駅のホーム。ちょうど電車が発車したばかりのところでした。ただ、不思議と電車の走行音は聞こえません。オトクイがココロの歌を食べてしまったことで、被害者の心は無音の世界に変貌しているのです。体験したシナリオはルールブック掲載のサンプルシナリオのため以降の内容は伏せますが、その途絶えた歌を蘇らせるのが、PCの目的の一つでもあります。下の写真の赤枠で囲んだところを見てみてください。

セッションで使うプレイシート。左半分がネイロを記録するゲージ。右は、ラスボスであるオトクイの能力を示している。写真では能力の1つがオープンされているが、本来は全て隠されている状態からスタートし、セッションを通じて徐々に明らかにしていく

このゲームでは、能力値に応じた1~4個の6面体ダイスを振って判定を行います。そのうちの1つが出目4以上なら基本的に成功です。さらに、それ以外のダイス1つを使って歌の欠片である音──「ネイロ」を高めることができるのです。写真の赤枠のシートに、その高まっていくネイロを記録していきます。ネイロが上昇しないと使えないナンバーもあり、ゲーム的にも積極的に高める必要があります。

上がるネイロは1~6のダイス目ごとに異なり、PCが持つコアとも対応しています。例えば、出目2なら赤色で、コアはホットを意味します。このネイロを高めるダイスを「ムードダイス」と呼びます。このムードダイスとコアを使って判定を劇的に有利にできるのが「ハーモニー」というルール。ムードダイスに対応したコアのPCなら、判定に協力できるのです。例えば、出目2をムードダイスとしたなら、コア「ホット」のPCがハーモニーとして判定に協力する権利を得られるわけです。

起点となったPCが判定に失敗していても、他のPCがハーモニーで協力できますし、成功しているなら成功度を高めるために協力するメリットがあります。成功度によってイベントが好転したり、戦闘ではダメージダイスを増やすことができたりするので、積極的に狙っていきたいところ。基準となる能力値がかぶらない限り、ハーモニーは連係し、最大6回分もの成功度を合計できます。ただし、増えたネイロに対応するPCがいなければハーモニーはつながりませんし、ファンブルしたらハーモニーを含む判定がすべて無駄になってしまうので、リスクもゼロではありません。

体験会の戦闘ではハーモニーが大活躍。通常ダイス2~3個で決めるダメージが、9個まで増加し、オトクイへのトドメとなった。爽快!

ここまでの説明でピンと来た方もいるでしょう。『ココロダンジョン』のシステムのベースは、『神話創世RPG アマデウス』なのです。ただし、初音ミクたちへの関心からTRPGに入ってくるユーザーを意識して、ダメージの処理をシンプルにしたり、特殊能力を使い切りにしてリソースに悩み過ぎずにゲームを楽しめるようにするなど、初心者も遊びやすいようにルールが整理されています。本作独自のルールともあいまって、分かりやすく派手なルールという印象を受けました。

◆第二弾は早くも今冬に! 公式イベントも続々開催予定!

ちなみに、この『ココロダンジョン』は、編集部の発案で河嶋先生と冒険企画局に依頼し、2016年秋から動き出した企画でした。

河嶋先生は「原作物はこれまでも手掛けてきましたが、初音ミクは決まったイメージがないので難しかったですね。ただ、初音ミクからさまざまな楽曲が生まれていくというアプローチは、ユーザーのみなさんがキャラクターやシナリオをつくることで世界が広がっていくTRPGと親和性があるんじゃないかな? と思いました。世界設定はフラットなものにしてみたので、みなさんのネイロで彩っていただけたら嬉しいです」と制作を振り返りました。

すでにサプリメントの発売も今冬に予定しており、第二弾に向けた楽曲の許諾も着々と集まっているとのこと。鏡音リン・レンなど初音ミク以外のデータが豊富に掲載予定との話もあり、こちらも楽しみです。

さらに、初音ミクTRPGの関連イベント予定がズラリ! 今夏から始まる初音ミクTRPGの暑い夏は、夏を過ぎても続きそうです!

①初音ミク 「マジカルミライ2017」企画展ブース参加
2017年9月1日~3日にかけ、千葉・幕張メッセで行われるイベントにて体験ブースを設置。企画展来場者向けに、30分~60分で「初音ミクTRPG」を体験できるイベントを実施。
http://magicalmirai.com/2017/

②まりえさゆりのオフラインセッション in 初音ミク「マジカルミライ2017」
人気ネット番組「まりえさゆりのオフラインセッション」の出張版を実施。初音ミクの声を担当する藤田咲さんをゲストに迎え、実際に初音ミクTRPGをプレイ!
日時:2017年9月3日(金)16時40分~17時40分
出演:三宅麻理恵、原紗友里、藤田咲(ゲスト)、桜葉星菜。(冒険企画局)
http://magicalmirai.com/2017/ex_stage.html

③9月16日・17日大型プレイイベント
東京・飯田橋の角川第3本社にて、初音ミクの大型プレイイベントを実施。
【開催概要】
開催日:2017年9月16日・17日
11時30分~14時30分/15時30分~18時30分(予定。2回制)
※どちらか1日、1回のみ参加可能。
会場:東京・飯田橋 角川第3本社ビル(最寄駅:JR 飯田橋駅西口徒歩3分)
申し込みフォーム:https://goo.gl/2srQ6Z

④オンラインプレイイベント実施!
2017年10月より、オンラインでプレイできるイベントを実施予定。詳細はTRPG ONLINE やドラゴンブック公式ツイッターにて広報予定。

(C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
(C) Adventure Planning Service


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