日本各地でTRPGコンベンションが活況を呈している中、女性限定という異色のTRPGコンベンションがあります。そう、「TRPGガールズフェス」です! 7月17日に開催された、この第3回イベントに当サイトの記者が参加していました。今回は、アラ環にしてTRPG初参加の記者レポートをお届けします!
TRPG every day マスコットキャラクター

「TRPGガールズフェス」はすでに3回を数えるイベントです。その原型となった第0回は、60分でTRPGを体験できるイベントの“女子会版”として2016年4月に開催されました。TRPGをはじめアナログゲームを多数手がけるアークライト社がTRPG初心者向けのイベントを検討する中で、女性TRPGユーザーからの「見知らぬ男性とテーブルを囲むのは緊張する」という声に注目して企画されたもの。当時は女性限定イベントが少なかったこともあり、満員になるどころか、Twipiaで「興味あり」とした人数も100人を超えるなど大きな反響を生んだイベントでした。

その第3回が7月17日、台東区民会館で開催されました。3時間卓と6時間卓の2カテゴリに分けて遊ばれたゲームは、実に20種類! 人気の『クトゥルフ神話TRPG』をはじめ、『神話創世RPGアマデウス』や『ダブルクロス The 3rd』、『常夜国騎士譚RPGドラクルージュ』、『エクリプス・フェイズ』など幅広いシステムを、140人近い女性ユーザーが楽しみました。

その1卓に参加したのが、幸いにも一般参加に当選した当サイト記者・白木蓮。アラサーどころか“アラ還”にしてTRPGに目覚めた彼女のレポートをお届けします!

最初から波乱のウタカゼ卓レポート!

記者が参加したTRPG『ウタカゼ』(リンク先は、こかげ書店商品ページ)

会場に入って驚いたのはなんといっても参加者の顔ぶれです。入り口から見渡すかぎり「女の人がいっぱい!」でした。受付のスタッフも女性だけなのも感心しましたね。案内された席に着くと、セッションが始まる12時までは少し時間がありました。待っている間、皆さんの期待感に満ちた柔らかな囁きが、ふわふわと飛び交っているのも印象的でした。

私が参加したのは、小さな勇者のRPG『ウタカゼ』3時間卓。小人や心ある小動物たちが暮らすメルヘンな世界を冒険するTRPGです。

しかし、いきなり緊急事態が発生! 参加するはずのプレイヤーさんが2人到着しなかったのです。珍しい事態のようでGMさんも戸惑われて、「お二人でもよろしいでしょうか」と確認してくれました。実は私、セッションは初参加なので、すごく気楽に「はーい、大丈夫です」と安請け合いしました。もう一人のプレイヤーさんも、奇遇にも私と同じウタカゼもTRPGのセッションも初めてという方でしたが、快諾され、いざセッションに!

まずはPC作成。GMさんの分かりやすい話の通りに進めていくだけで、可愛いキャラができあがります。私のPCは知恵に優れた調べ事が得意なウタカゼ。パートナーの彼女は、愛情と勇気に長けたストーリーテラーのアタッカーを作りました。初参加ですが、すごくバランスが良さそうなパーティに。これで無事に、ウタカゼの「想いがかたちをなす大地」に立つことができました。

この2人で挑んだシナリオは2本。チュートリアルを兼ねた短いものと、本腰を入れて取り組んだメインシナリオが「カエルとサカナとぐるぐるばしゃん!」(雑誌『Role&Roll vol.153』掲載)です。カエル族の王国から少し離れたザリガニ沼周辺に、季節外れの暴風雨が吹き荒れ、村々から救援を依頼されるというお話でした。

GMが一人芝居のように物語るのに導かれて、私たちは必死にダイスを振りました。そう、必死にです! 参加する前は、「ダイスの出目にハラハラなんてするのかしら」と思っていたんですが、実際に参加したTRPGは全然違いました。ハラハラ、ワクワクさせられちゃうんです!

無事ラスボスを倒した時には、あっという間の3時間が過ぎていました。ロールプレイをする余裕はほとんどなかったのですが、楽しかった!

本当はこの3時間卓が終わったら帰宅するつもりだったのですが、興奮の勢いでその後もイベントを堪能させてもらいました。

隣の『ドラクルージュ』卓では小さな薔薇の花の増加やルーレットのチップなど小物が目を引きました。他にも、システムの雰囲気に合わせて着飾った方が居たのも驚きでした。白衣に防風眼鏡をかけた方や、浴衣の方、クールな黒い礼装など、華やかな装いも「TRPGガールズフェス」らしいところだなと感じたものです。私、年配の方ですけど、次の機会もぜひ参加したい!って思わされる熱気と勢いに満ちていました。

女性が安心して参加できるよう設営段階から工夫が

レポートいかがでしたでしょうか? 素朴な感想ながら、TRPG経験や年齢関係なく、楽しめるイベントというのが伝わってきたかと思います。実際、運営に伺ったところ、参加者は「いらっしゃる方が『ほとんどTRPGをやったことがない』『コンベンションは初めて』という層が最も多い」といのこと。TRPGに興味はあるけど最初の一歩が踏み出せなかった女性ユーザーを後押ししていることが分かります。

ただ、女性限定にするには、通常のコンベンションとは異なる苦労もあるようです。プレイヤー、GMはもちろん、会場内には女性しかいないようにスタッフを制限するのはもちろん、会場の設営段階でも女性のみで対応するため、設営にあまり力仕事が必要にならない会場選びにも配慮しているとのこと。

こうした安心感を生むイベントづくりのおかげで、第3回は過去最大の全33卓、ホラーからファンタジー、SFまで幅広いジャンルのセッションが成立しました。つい初心者が多いというと『クトゥルフ神話TRPG』にばかり集中してしまいそうに思いますが、このジャンルの幅広さはTRPG全体への関心の高まりを感じさせるところといえるでしょう。

期待したい次回の開催は……残念ながら未定とのこと。ただ、検討中のようですので、次回参加を希望したい方は「#TRPGGF」のタグを付けてツイートしてみましょう。皆さんの思いが、次回開催の後押しになるそうですよ!


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