8月31日から3日間続いた大型コンベンション「TRPGフェスティバル2018」も終わりを迎えます。9月2日の閉会式に登壇したのは、グループSNEの安田均先生、F.E.A.R.の鈴吹太郎先生、冒険企画局の河嶋陶一朗先生、インコグ・ラボの江島博代表の4名。

まず挨拶に立った河嶋先生は、今回はゲストでなく一般参加という異例の形でした。バスツアーをはじめ、D&D体験会、F.E.A.R.主催のトークショーにこっそり参加するなどTRPGフェスを満喫したことを楽しそうに報告。このような参加をした理由を「例年、自分の企画で手一杯になってしまうので、ユーザー目線で体験したかった」と明かし、今後のイベントに活かしたいと熱意を語りました。

一般参加の魅力を語る河嶋先生。実際、twitterに上がっていたイベント風景写真でも、一般参加を満喫する河嶋先生の姿がちらほら

■インコグ・ラボ代表挨拶から二転三転して戦国時代の幕開けに!?

続いて、マイクを握ったインコグ・ラボの江島代表が取り出したのが、黄金の冠。昨年もTRPGフェスティバルに参加していた方なら覚えているかもしれません。ローマ風呂で皇帝に扮して演説を打つなどした友野詳先生がかぶっていた黄金の冠です。

そう、インコグ・ラボのライブRPGの発端は、そもそも2017年のTRPGフェスティバル閉会式でした。グループSNEの友野詳先生の冠が、ちょっとした偶然から江島代表に渡されたのです。そこで、今回のライブRPGでは「伝説のデザイナーの力が宿った冠を使って新作ゲームを作ろうとしたら、オーバーフローしてインコグ・ラボ作品の各世界が崩壊の危機に陥ってしまった」──という筋書のイベントを企画した経緯が明かされました(リンク:関連記事)。

黄金の冠を手に、自社イベントのライブRPGを振り返る江島代表。会場から「面白かった!」と合いの手も

そのライブRPGでは優勝者が願いを叶えることに。そこで優勝者が願ったのが、名作を作る力を秘めた皇帝の冠を「大好きな『深淵』を手掛けたデザイナー、朱鷺田祐介先生に渡す」ことだったというのです。慌てて舞台に駆け寄って文句を付ける朱鷺田先生。思わぬ展開に、会場からは拍手喝采が巻き起こりました。

舞台下から江島代表を睨みつける朱鷺田先生。しかし……

登壇した朱鷺田先生は、舞台下とは一転して笑顔に転じると、「私は年も取っているので、この1年にゲームを出した若い人に競い合い、奪い合ってほしいと思う。若者たちよ、この黄金の冠を取れ、次なる時代の皇帝となれ!」と呼びかけたのです。これに応え、「一番ふさわしいのは俺だ!」「商業じゃなくても帝位を簒奪できるはずだ!」と舞台上に駆け上がったのが7人の若手ゲームデザイナー。

三枝チャージチェンジアクションRPG マージナルヒーローズ
からすば晴英雄武装RPG コード:レイヤード
番棚葵神聖課金RPG ディヴァイン・チャージャーリンク:関連記事あり
倉樫澄人サムライブレイドTRPG
・【どらこにあん】瀧里フユ銀剣のステラナイツリンク:関連記事あり
・【六畳間幻想空間】Lord_Phantasm歯車の塔の探空士
清水三毛ふしぎもののけRPG ゆうやけこやけ(共著))
※敬称略、【】は同人サークル名、()内は著作、リンクは購入可能な店舗サイト

皇帝の冠にふさわしいのは俺だ!と名乗りを上げた7人のゲームデザイナー。なお、誰より早く手を上げたのは『トーキョーナイトメア』を今春に上梓した鈴吹太郎先生だった

商業・同人の区別なく登壇した彼らを前に、朱鷺田先生が宣言したのは「1年間で最も活躍した者に、冠を授けよう」という競争の開幕でした。会場にも「彼らの誰が生き残り、王冠を手に入れるのか、見届けてほしい!」と呼びかけ、盛り上げました。

なお、1年間行き場がなくなった皇帝の冠は再びインコグ・ラボ代表が保管することに。「来年もイベント考えないといけないの!?」という悲鳴が上がっていたのは、また別のお話。

■伝統とともに次の世代へ、来年も来るぞ!

こうした盛り上がりの後に登壇した、主催:アークライトの刈谷圭司氏は懐かしそうに若い頃を振り返り、

「大学生の頃、北澤さん(グループSNE・北澤慶先生)と同じサークルだった。同人誌を作るために一緒に輪転機を回していたメンバーの1人が河嶋さん。今はいずれも業界を代表するデザイナーとして活躍している。(戦国時代に名乗りを上げた)彼らも業界を代表するデザイナーに成長してほしい」と、若いデザイナーにエールを送りました。

TRPG版“トキワ荘”というべきエピソードを明かし、若手デザイナーへの期待を語ったアークライトの刈谷氏

最後は例年同様に、安田先生の掛け声に合わせて、「来年も来るぞ! 一緒に来るぞ! みんなで来るぞ!」と次回のTRPGフェスティバルへの参加を約束することに。最後まで賑やかなまま祭りは終わりを迎えました。

デザイナーも一般参加者もスタッフも、力強く拳を突き上げて「来年も来るぞ!」と唱和した。その一体となった姿に今回のイベントの充実が感じられた

■Here Come The New Challengers! 7人じゃ収まらなかった群雄割拠を制するのは誰?

かくして幕を迎えたTRPGフェス2018ですが……気になるのがTRPG帝国皇帝の冠の行方です。実は、この冠を手渡すことは閉会式の1時間前に、江島代表から朱鷺田先生に打診したもの。その時間内で急きょ、冠争奪戦を企画し、声をかけられたのが6名(清水先生は、アドリブで壇上に)でした。

ただ、まだ名前の挙がっていないデザイナーもいますよね? というわけで早速名乗りを上げた人物が!

そう、冒険企画局の新進気鋭のデザイナーのお2人です。

芥邉雨龍クラヤミクラインThe FIFTEEN
古町みゆき(ストラトシャウト(制作中/リンク:関連記事あり))
※敬称略、()内は著作、リンクは購入可能な店舗サイト

これで9名に。いやいや、まだまだ知られざるデザイナーが台頭するのかもしれません。混沌とするTRPG業界、この1年間の彼らの活躍から目が離せませんよ!


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