TRPGで一番最初に行う楽しみといえばキャラクター作成ですよね。けれどもちょっと待って下さい。テストセッションをある程度数をこなすまで、キャラクター作成用のデータを組む必要はありません。とりあえず前衛・後衛・補助といった組み上がった状態のサンプルキャラクターを用意してそれを使うようにしましょう。

なぜキャラクター作成用データを作ってはいけいないのでしょうか。一つ一つ見て行きましょう。

「未完成」である事の大切さ

そもそもの大前提として、TRPGを作るには遊んでもらう必要があります。遊んでもらうには、楽しい物を作らないといけません。最終的な完成度を高めるために、人に遊んでもらい、早い段階でフィールドバックをもらうことが大切です。そのためには、「どれだけ低クオリティな状態で遊べるレベルに達するか」というのが大切になります。ルール構築がおざなりなまま広大な世界観を構築しても、遊んでもらう事はできません。ルールを組んでも世界観が浅かったらどうすれば遊べるのか参加者は困ります。

全体としての完成度はまだまだでも、とりあえず遊べるラインまで組み上げて実際に遊ぶことで、色々な発見が見つかります。それこそ世界観自体の不備、ルールの穴、思わぬアイデア。完成度が低い状態ならば、それらをすぐに取り込み修正する事ができます。キャラクター作成データなんてのはもってのほかで、そのシステムのコアがキャラクター作成でないならば手をつけなくても問題ありません。

意見の言いやすい環境を作る

これもまた完成度に関わってきます。完成間近のシステムを遊ばせて、出てきた意見が「そもそもそのコンセプトだと、このルールを作る必要なくない?」等といった物だとしたらどうでしょう。ショックです。流石にそこまで言わないまでも、かなりクリティカルな所のルール・世界観・プレイスタイルへのアプローチといった所を指摘されたとして、素直に修正を加えられる人はめったにいません。

また、意見を言ってくれるだけまだましで、大抵の人は修正不可能そうなクリティカルな問題点を見つけても製作者本人に言えず、「んーまあ楽しかったよ! がんばってね!!」で終わることもままあります。

参加者から素直な意見を吸い上げるためには、未完成な状態で遊ぶのが一番です。完成度が低ければ低いほど、問題点を見つけやすく意見を言いやすいです。完成度が低い状態の時は細々とした世界観やルールが無く完結な場合が多いので、そのコアな部分に直接振れる機会が多いです。

根底から作品が変わる可能性はゼロではない

そもそもとして、その世界観とルールが合致せずに、どちらかを根本から変える必要がある・・・という事もまたあります。そうした時にもうキャラ作成データや世界観を相当組み上げてしまった状態だと、いろいろな要素が複雑に絡み合ってどうしようも無い状態になっている、といった事になりかねません。

作品を作るのは自分でも、結局のところ沢山の人に遊んでもらうためには何かしらの手を加えて形を整えていく必要があります。どこまで手を加える領域を残していくのか? というのも大切な課題です。全体のバランスを見ながらシステムを構築していきましょう。

全てを取り入れる必要はない

意見を全て取り入れる必要はありません。どういったプレイスタイルを受け入れて、例外についてはどういうスタンスを取るのか。とても大切です。GMにもPLにも様々なプレイスタイルがいます。それら全てに対応していくのはとてもじゃないですが無理です。

実際、現在ある商業システムのどれもが、プレイスタイルにより向き・不向きがあります。自分の望むスタイルへと合わせて意見を取り入れて自分の作品の完成度を高めていきましょう。これは難しいことですが、一番大切なことです。テストセッションを繰り返していくと、自ずと見えてくるものもあるかもしれません。


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