対戦型カードゲーム「魔軍棋」

対戦型カードゲーム「魔軍棋」

世界を脅かした魔王を聖騎士団が急襲し、両者相打ちとなった。だが、魔王の配下たる魔軍は健在だったため、悪の勢力が魔王の座を争う暗黒の乱世が始まった──インコグ・ラボ制作、「永い後日談のネクロニカ」で知られる神谷涼さんデザインの「魔軍棋」は、悪と悪がぶつかりあう対戦型カードゲームです。プレイヤーは魔王の後継者となるべく、悪の勢力を糾合してライバルと戦うことになります。

ゲームの主役となるカードは、施設カードが8種類、兵カードが24種類の計32種類。カードは全て1枚ずつのため、最初に行うカードドラフトで戦い方が大きく左右されます。兵カードは3つの分類があり、だいたいの傾向が決まっています。

 

◆ヒーロー
強力な特殊能力など個性的な強さを持つ。ヒーローが全員倒された側は敗北になる
◆モンスター
純粋な戦闘力に優れ、敵施設を破壊できる
◆トループ
2回倒さないと撃破できないタフさを持ち、敵施設を占領できる

 

この兵カードを8枚ずつ陣に配置したところで、ゲーム本番のスタートとなるわけです。という風に、こまごまと説明するより実際にやったほうが分かるものですよね。というわけで、こかげ書店でも店主とIT担当で実際に遊んでみました!

(※22日夕方時に1か所追記しました。ルール勘違いしててすいません!)


1.計画・編成

ゲームは先手後手をダイスなどで決定。まずは施設カードの分配から始まる。施設カードはヒーローだけが設置でき、それ単体が武器になったり、カードの機動性やステータスを高めてくれる。

 

店主「(マニュアルを読みながら)まずは施設を取り合う」
IT担「おっけー。じゃあ、『闇の祭壇』からいこう」
店主「……前回、それで負けたんだよなぁ」

 

◆闇の祭壇:
施設を選択することで、非消耗状態の兵カードをこの施設上に移動できる。IT担は前回、前線に配置した闇の祭壇による移動からの畳み込みで店主をあっさり撃破した。

 

店主「ま、使わせなければ良いだけよ。では、こちらは『砲台』で。砲雷撃戦、よーい!」
IT担「雷撃担当は誰よ」

 

このように4枚ずつの施設カードを分配。続いて兵カードの分配に移る。
カードを裏にしてシャッフルし、6枚をオープン。それを交互に1枚ずつ計2枚を手札としたら、残る2枚は捨て札に。
この分配を4回繰り返して8枚の兵カードから成る戦力を確定させる。

 

IT担「『レンデル』、『モルデキア』、『スカール』、『グラガッド』!」
※いずれもヒーローカードの名前
店主「分厚くしやがって。ヒーロー4枚は削れないなぁ」

 

魔軍棋はいくつか勝利条件がある。その一つは、「敵軍のヒーローを全て倒す」こと。ヒーローが多いことはそれだけ負けにくくなるのだ。

布陣直後の初期状態。裏面が紫のカードが兵カード。オレンジのカードは施設カードで、お互いの手元に置いておく

布陣直後の初期状態。裏面が紫のカードが兵カード。オレンジのカードは施設カードで、お互いの手元に置いておく

 

店主「まぁ、よいわさ。こちらも『イカレたブッ放し屋』も『カーナック』もいる。『砲台』と合わせて砲雷撃戦をお見せしよう」

 

◆イカレたブッ放し屋:
オークのトループ。射程2だけのシンプルなカードだが、トループのしぶとさと相まって嫌らしい。
◆カーナック:
ゴブリンのヒーロー。消耗状態になる代わりに射程3の遠距離攻撃もできる。兵カードの中で射程3攻撃ができるのはカーナックだけ。

 

2.布陣

8枚の兵が確定したら、6×4の縦長のマップのうち、自陣の8マスに任意で配置していく。基本的に兵カードは1マスずつしか動けないため、味方が邪魔になることもしばしばで悩ましい。
また、カードは伏せて配置するため、対戦相手にはどこに何がいるか分からなくなる。軍人将棋に似たところで、伏せカードの読み合いもゲームのポイントになっている。

 

1ラウンド初手終了時。建設した施設はヒーローのマスに置かれ、次の自分の手番が来た時に公開。その能力も有効になる

1ラウンド初手終了時。建設した施設はヒーローのマスに置かれ、次の自分の手番が来た時に公開。その能力も有効になる

3.会戦

店主「では、先手のこっちから。左サイドから攻めつつ、施設を立てる」
IT担「前線で初手からヒーローばらしちゃいますか、ふむ」
※(注意!)この時、店主は勘違いして3手動かしていますが、1ラウンド先手は2手しか動かせません

 

施設を建設できるのはヒーローだけ。建設時に伏せカードだった場合、表にする必要がある。表にしたヒーローは『セレニカ』、特殊能力はないが、その分純粋に戦闘能力が高いカードだ。

 

相手は、店主から見た右サイドを前進。互いに逆サイドの戦線を押し上げる形になった。

このように、魔軍棋では、1ラウンドに3手を動かせる。1手で指定された兵カードや施設カードは行動済みとなるため、そのラウンドに再度行動することはできない。1ラウンドに3カードを動かす、と考えると分かりやすい。

そして、2ラウンド目。

 

じりじりと近づく両軍。偵察したカードは、ヒーローだった

じりじりと近づく両軍。偵察したカードは、ヒーローだった

店主「……よし、ちょっと攻めよう。行け、セレニカ!」

 

セレニカを前へ動かすとともに、左サイドの兵をセレニカの後詰に横移動。さらに右サイド最後尾の兵で『偵察』を行った。

 

◆偵察:
味方の表向きの兵カード1体を指定し、3マス以内の敵の伏せカードを表にできる。

 

IT担「あ、それでいいんだ。ふーん」
店主「え? 待って、セレニカだよ? ヒーローの最優※よ?」
※そんな設定はありません。

IT担「カードをオープン。こいつが突撃して一撃で倒せるね?」
店主「……は、早まったぁ!?」

 

2ラウンド終了時の戦況。押し上げた左サイドは早くも崩壊。セレニカを前に押し上げて『砲台』を置くという店主の安直な目論見はあっさり崩れた

2ラウンド終了時の戦況。押し上げた左サイドは早くも崩壊。セレニカを前に押し上げて『砲台』を置くという店主の安直な目論見はあっさり崩れた

◆突撃:
1~2マス移動して、進行方向にいる敵兵を攻撃できる特殊能力。
1手使って回復しないと動けない『消耗状態』になるが、1手で移動と攻撃を行え、攻撃力も+1される強力な能力だ。

 

IT担は、さらにもう一体の突撃持ちで左サイドを攻撃し、伏せていたトループが消耗状態に。

 

店主「一気に押し込まれた……」

IT担「防御5点は1枚でも叩き出せるから安心できないよ。叩きだすのが厳しいのは6点からだね」

 

魔軍棋では攻撃より防御が高い兵カードが一般的なため、たいてい2~3体がかりで1体を撃破することになる。

 

店主「ええい、それ以上に敵を倒せばよいだけよ!」

 

店主は前線で伏せていたカーナックをオープン。射程3攻撃に加え、セレニカの後ろにいた兵カードで『連続行動』。移動+攻撃でセレニカを倒した兵カードを撃破した。

 

◆連続行動
消耗状態になる代わりに、移動+攻撃、偵察+攻撃など、異なる行動を1手で行える。宣言時点で消耗状態となるため、消耗状態になる特殊能力とは組み合わせられない。

 

店主「仇は取ったぜ……」
IT担「1体倒すために前に出ると、敵に倒される。自然に一進一退の攻防になるんだよな」

 

魔軍棋は10ラウンドという時間制限もあり、毎ラウンド、敵カードを撃破しあうような状況もしばしば。今回の勝負も、やはり一進一退の駆け引きが続いた。プレイヤーの知謀が試される。

 

店主「ああ、カーナックの攻撃力3じゃなくて2かよ! しかもオークじゃないのっ!?」
IT担「ああ、移動間違ってた。これじゃ味方が邪魔するじゃないか……」
※知謀に自信のないプレイヤーでも十分に楽しめます。

 

その後も戦況はIT担が微妙に優勢に進み、

3ラウンド終了時。互いに2体が撃破された。ちなみに『カーナック』は下から2つ目、右から2つ目の横になっているカード

3ラウンド終了時。互いに2体が撃破された。ちなみに『カーナック』は下から2つ目、右から2つ目の横になっているカード

 

5ラウンド終了時。店主はアンデッドを特殊能力『黄泉返り』で復活させたが、さらに1体を撃破され、撃破数だと3:2で押し込まれ気味

5ラウンド終了時。店主はアンデッドを特殊能力『黄泉返り』で復活させたが、さらに1体を撃破され、撃破数だと3:2で押し込まれ気味

 

7ラウンド終了時。店主側は施設『砲台』を建設して攻撃力不足を補うも、防戦一方。IT担の勢力は前線を押し上げてくる

7ラウンド終了時。店主側は施設『砲台』を建設して攻撃力不足を補うも、防戦一方。IT担の勢力は前線を押し上げてくる

IT担「逃げまわってるカーナックを潰したいなぁ」
店主「どうにも劣勢だなぁ……うん?」
IT担「投了するかい?」
店主「(……これは、いけるかも)……馬鹿なこと言いなさんな。終戦するまでが戦争ですよ!」

8ラウンド初手終了時。『エルマイラ』は最下段、右から2つ目のカード。表紙の美人さんでもある

8ラウンド初手終了時。『エルマイラ』は最下段、右から2つ目のカード。表紙の美人さんでもある

 

4.決着 

そして、運命の8ラウンド。

店主は突撃持ちのトループで最後尾の敵ヒーローを撃破。さらにトループと『エルマイラ』を消耗状態から回復させて手番を終えた。

 

◆エルマイラ:
「魔軍棋」の希少な少女分を供給するヒーローカード。
魔王の娘という出自にふさわしく、兵カードの消耗状態を回復させる特殊能力を持つ。通常の回復では、回復したカードが行動済みとなってしまい、そのラウンドに行動できないが、エルマイラの行動を使えば即座の行動が可能になるのだ。

 

IT担「ふむ。なら、突出した奴を撃破して、兵を移動。さらに施設を置く。これで、そっちの番だよ」
店主「……いいんだな?」
IT担「え? この状態で倒せんの?」

8ラウンド終了時。この直後の砲撃でIT担当の最後のヒーロー(下から3つ目、右端)が撃破された。ちなみに熱が入りすぎて途中からラウンドマーカー動かしてません

8ラウンド終了時。この直後の砲撃でIT担当の最後のヒーロー(下から3つ目、右端)が撃破された。ちなみに熱が入りすぎて途中からラウンドマーカー動かしてません

 

店主「砲雷撃戦、よーい!」

 

店主側はカーナックによる射程3攻撃、砲台による射程2攻撃、さらに隣接するトループの攻撃で後1枚だったヒーロー『グラガッド』に6点のダメージを与えた。対するグラガッドの防御力は6点。これでIT担のヒーローは全て倒された。

 

店主「よっしゃあ、勝利……!」
IT担「……み、見落としたかぁ。一時は追い込んだのに、攻めきれなかったな。やっぱり、もう少し遠距離攻撃カードを入れとくべきだった……」
店主「ドラフトは大事だね。遠距離多いと攻撃力低めになるから、そのあたりのバランスが悩ましいけど。いやー、熱い戦いだった」
IT担「も、もう一回! 負けたのより、お前のニヤケ面が気に入らない……!」

 


 

プレイは拙いものですが、「魔軍棋」は何度遊んでも新鮮に楽しめる奥深いゲームと思います。ご興味が湧きましたら下記ロゴからこかげ書店へどうぞ、全国にメール便でお届けしていますよ!

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