2014年のTRPG界を盛り上げたTRPGの5本の指に間違いなく入る作品といえば『ログ・ホライズンTRPG』ですよね! 原作の魅力もそうですが、TRPG作品は原作の雰囲気を活かしながら、ゲーム単体としても楽しい作品で原作ファン以外の多くの人にも楽しまれています。しかも、何と言っても目が離せないのが公式サイトでのWebサポート! 『セルデシアガゼット』のロングシナリオは目が点になるぐらい大ボリュームでした。今回は、な、な、なんと! 大忙しの原作者・橙乃ままれ先生と、twitterでもおなじみ、広報エリッサさんのお二人にインタビューすることができました。年末最後のビッグインタビュー、お楽しみください!
TRPG every day マスコットキャラクター

小説版ログ・ホライズン

作品紹介:ログ・ホライズン
(著:橙乃ままれ、イラスト:ハラカズヒロ、橋本モチチ(モンスターデザイン))
架空のMMORPG〈エルダー・テイル〉をプレイしていたプレイヤーが、ゲームの舞台と酷似した異世界に転移。主人公シロエを中心として、プレイヤーや異世界の住人たちの奮戦を描く。Web小説を発端に、書籍化から漫画化、アニメ化、ついにはTRPG化とログホラ世界は日々拡大中。
ログ・ホライズン1 異世界のはじまり

■ログホラのコンセプトから必然的に生まれたTRPG企画

──ログ・ホライズンTRPGは、非常に計画的に展開してきたプロジェクトという印象があります。その最初のところ、TRPG化しようと思ったきっかけや理由から教えていただけますか?

14年4月の発売後、原作同様に一気に人気に火が付いた『ログ・ホライズンTRPG』

14年4月の発売後、原作同様に一気に人気に火が付いた『ログ・ホライズンTRPG』

橙乃「それには、まずログホラTRPGから話すより、背景の説明をした方が分かりやすいですね。ログ・ホライズンのプロジェクトはWeb連載小説『ログ・ホライズン』を始点として、書籍化によって始まったプロジェクトなのですが、当初からユーザーとの距離が近いプロジェクトとして始まっています。これにはWeb連載というスタート地点の影響が大きいです」

──Web小説ですと、発表してすぐ読者が反応してくれるなど、一般の書籍小説とは距離感がだいぶ違いますよね。

橙乃「書籍版でもそれは継承されていて、たとえば章扉のキャラ紹介におけるアイテムアイデアは当初から読者に公募してきた企画で、刊行された書籍8巻の今でも続いています。今は広報エリッサに手伝ってもらっていますけど、5巻までは橙乃本人が募集までやってました。っていうか、あんまりにも仕事が増えて、エリッサに泣きつきました(笑)」

エリッサ「はい、エリッサです。そういうわけでメディアミックスが進んでいる現在でも『ユーザーとの距離を近く』『参加可能』が重要な要素として引き継がれています」

橙乃「エリッサも開発チームのメンバーなので、作品とは長いつきあいですね。エリッサがいった2点が、ログホラプロジェクトの全体コンセプトなんです」

主人公シロエ(左)やアカツキの所持品にも、ファンのアイデアによるものが多い

主人公シロエ(左)やアカツキの所持品にも、ファンのアイデアによるものが多い

 

──なるほど、メディアミックス企画含めて、一貫したコンセプトで取り組んできた作品なんですね。メディアミックスというと、漫画はもちろん、アニメも今は二期が放映中と、非常に積極的ですよね。こうしたメディアミックスを図るという戦略は商業化の初期からあったんでしょうか?

橙乃「そうですね。メディアミックス自体は、商業作品では定番なんですが、その山への登り方は複数あり、作品ごとに見合うルートって違うのだと思います。ログホラは先ほどのコンセプト的な部分からTRPGという企画が出てきました」

──TRPG企画が持ち上がったのはいつ頃のことなんですか?

橙乃「2012年1月ごろ、アニメ化もまだ決まっていないころでした。正直に言うと、TRPGを作ろうとして始まった企画ではないんですよ。当時、二次創作(同人)的な要望が高まり始めて、『もっとログホラの設定を知りたい』という希望が多く寄せられていたのが理由の一つ。そしてさらに、メディアミックスが徐々に始まる時期だったため、未発表なものも含めたログホラのいろんな設定を編纂する必要性が出てきていたことがあります。その二点からログホラ世界の内部資料を本格的に整理しなければならない状況になりました。
もちろん僕自身が昔からTRPGと関わってきていて親しみもありましたので、整理フォーマットとしてTRPG作成を同時にするのがよいかなあ、と思ったんですね。さらにいうと『ログ・ホライズンの世界に参加する窓口』『その世界を味わえるメディア』としての立ち位置があると判断して、動き出しました。
そもそもの話、ログホラの書籍を出しているのが、エンターブレインさんのTRPGを出している部署と同じだったので企画を通しやすかったのです(笑)」

──それは前々から計画していたような組み合わせですね(笑)

橙乃「いや、そこはまったく偶然ですね。『まおゆう』が出たのも偶然。でも、これもご縁ですね。ただ、エンターブレインさんにはすごく応援してもらったのに、開発には結構時間がかかりました。待ってもらったという意味でも、すごく応大切にしていただいています。感謝です」

──あのルルブの分厚さだけでも、開発の苦労と力の入れようも伝わってきますね。
では、先ほど触れられた橙乃先生のTRPGとの関わりについても教えていただけますか? 独自のTRPGシステムをデザインされたこともあるとか。

橙乃「赤箱※1経由で、ローズ※2やって、トラベラー※3やって、ワープス※4も、ガープス※5も、アップルベーシック※6も、クトゥルフ※7も、T&T※8も、AFF※9もやって、エンギア※10からアルシャ※11、ARA※12もやって、サタスペ※13もやって……くらいですね。また、橙乃も昔は、いろんなTRPGのユーザーサプリとか、オリジナルシステムを作ってました」

※1 赤箱:日本で翻訳販売されたDungeons & DragonsのBasic Setのこと。ルールブックなどが赤い紙箱にパッケージされていたことから、この愛称で親しまれた。
※2 ローズ:ローズ・トゥ・ロードのこと。日本TRPG黎明期から版を改めつつ今も愛されるファンタジーTRPG。
※3 トラベラー:星々を宇宙船で渡り歩くSFTRPG。英雄ではなく一市民として交易をしたり、宇宙を旅するのを楽しむ。
※4 ワープス(WARPS):国産の汎用TRPG。PCがセッション開始時点からヒーローとして活躍できるルールは、今日の他システムにも息づいている。
※5 ガープス(GURPS):おそらく日本で最も有名な汎用TRPG。CPというポイントを使って幅広いキャラクターを作成可能。日本では『ガープス・ルナル』『ガープス・妖魔夜行』などが有名
※6 アップルベーシック:冒険企画局による汎用TRPG。多様な世界観のゲームが発売されており、こかげ書店でも販売中の『ウィッチクエスト』もその一つ。
※7 クトゥルフ:言わずと知れたホラーTRPG『クトゥルフ神話TRPG』。
※8 T&T:トンネルズ&トロールズ。ファンタジーTRPGとして親しまれた世界観に、乱戦を模した戦闘ルールなど独自性を盛り込んだ作品。
※9 AFF:アドバンストファイティング・ファンタジー。ゲームブックの系譜につながる独自のシステム。派手な活躍を可能とする一方、ハイリスクなルールも個性的。
※10 エンギア:エンゼルギア 天使大戦TRPG。人間型戦車に乗り込んで天使と戦うミリタリー・ロボットモノ。
※11 アルシャ:アルシャード。北欧神話をベースとしたTRPGで、F.E.A.R.の汎用システム・SRS(スタンダードRPGシステム)を使った象徴的な作品でもある。
※12 ARA:アリアンロッドRPG。TRPGにMMOライクな遊び方をミックス。システムも分かりやすく、TRPGを知らない人が入り口としやすい作品。
※13 サタスペ:アジアンパンクTRPG『サタスペ』。if歴史をたどった国際貿易都市オオサカでチンピラとして暴れ回る、TRPGでは珍しいクライムアクションモノ。

──TRPG史を振り返るようなタイトルが次々に……幅広いですね、驚きました。かなりバリエーションに富んだTRPG遍歴と思いますが、この中で特に好きなシステムの傾向などはありますか?

橙乃「特にないですね。エリッサも古くからのゲーム仲間なんですが、そうして良いメンバーと遊べると何でも面白いですよね。それに、どのシステムも特有の良さがあるので、それを愛でるのが楽しいです」

──TRPGは一緒に遊ぶ仲間が大事ですよね。TRPGというとログホラTRPGをデザインされた絹野帽子さんの名前も浮かびますが、エリッサさんと同じぐらいの頃からのゲーム仲間なんでしょうか?

橙乃「ええ、絹野さんも同じゲームサークルに参加している、古くからの友人ですね。うちはオンラインでのサークルとしては長寿なほうだと思います」

──そうした積み重ねや縁があって、今回のルールブックができているわけですね。

■TRPGにしかできないことがある

──次に、ログ・ホライズンTRPGについて伺わせてください。原作物TRPGというと原作キャラを登場させたり、原作キャラをPCとして動かす作品が多いものですが、本作は原作キャラをメインに押し出さず、むしろ純粋なTRPG作品として制作されたように感じています。TRPG化に当たって意識されたポイントは何だったんでしょうか?

橙乃「今回はTRPGのお話なので、作品原作者としてではなくTRPG版のプロデューサーとして話すことになるわけですが、開発チームでは『最初のルールブックを一冊出す』ということにあまり価値を置いていませんでした。はじめの一歩ではあるけれど、TRPGプロジェクトのゴールではない。マイルストーンですよね。そもそもルールブックって先端露出部分なんですよね。書籍に記載された背後には未掲載のデータなり、内部ドキュメントなりが数倍あるのが普通です。最初のルールブックを発売してそれで終了ではなく、サプリメントやサポートといった継続した何かが必要になりますよね」

──サプリメントが出ると、新しい要素を遊びたくなって続けてしまいますね。

文字通り“盾”となって味方を守る守護戦士のサンプルキャラクター。ログホラらしいスキルが並ぶ(クリックで大きい画像が開きます)

ログホラTRPGより守護戦士のサンプルキャラクターデータには小説でも登場したスキルも。まさにアキバの街の冒険者の気分を味わえる(クリックで大きい画像が開きます)

橙乃「そうですね。そういう『遊べる環境』が本当に作りたいもので、最初のルールブックはそのための道具の一つという感覚でした。誤解を恐れずに言うと、そもそもの話、TRPGは小説や漫画アニメに比べればメディアとしては小さく、ユーザーも少ないです。ログホラプロジェクト全体から見れば、TRPGプロジェクトはあくまで小さな一部分なんですね。そんな小さなTRPGがメディアミックスプロジェクトの中で何ができるのかといえば、『ログホラ世界に自分自身として(=オリジナルなPCで)飛び込める』ことだとおもうんですよ」

エリッサ「小説やアニメではできないような、自分自身で世界に飛び込んで、感じてもらえること。小説やアニメの世界の外にも広がっていると実感してもらえること。それらが書籍版やアニメ版のログホラに対して、TRPG版の持つミッションだと開発チームは考えています」

──なるほど。逆に言えば、書籍版やアニメでは難しいことが「その世界に自分自身として(=オリジナルなPCで)飛び込める」なわけですね。作品に対する、アプローチが違ってくる。

橙乃「そうです。シロエやアカツキや直継になりきって楽しむのは、小説やアニメの方が得意じゃないですか。『原作もののTRPG』を作る時、原作の人気に乗っかったアイテムという作り方ってアリだと思いますし、有効なんですけれど、今回はそれをやりたくなかったんですね。かといってTRPGのメディアミックスで大きな利益は出せない。
なので、プロジェクト全体に還元するためには『創作のための資料集、世界設定を深める』『ユーザーの皆さんがログホラ世界に参加したくなったとき、その夢を仮託できる』っていうのが、利益以外でユーザーにコミット(約束)できるポイントだと思ったんです。だから、オリジナルPCである必要があったし、ヘイト※14をはじめとした『ログホラっぽい雰囲気』が必要だったんですね。ヘイトの表現はPCがオリジナルになった場合でも、作品の連続性を感じてもらうためのギミックという位置付けなんです」

※14 ヘイト:ログ・ホライズンTRPGで、戦闘で敵から集めている敵意を表した数値。強力な攻撃や回復など、敵に脅威と思われる行動を取ると上昇する。敵はヘイトが高いPCを狙うことになるため、敵の攻撃を意図的に誘導することが可能に。

──ヘイトというルールはTRPGでは珍しいものですが、原作との連続性だけでなく、ルールとしても評判が良いですよね。GMが攻撃対象に悩まずに済みますし、プレイヤーも攻撃されたくないPCがいるなら、ヘイトを調整すればいい。

橙乃「評判良くてホッとしました。結構自信ないところもあったんですよ。計算コスト重いじゃないですか(笑)」

──個人的にコンベンションやWebで遊んだ方から話を聞いてみたんですが、「そこがむしろ楽しくなってくる」って声が多かったんですね。「新鮮」って意見もありました。

橙乃「ありがとうございます」

エリッサ「沢山プレイしてもらえるのが一番幸せです」

──次に、少し意地悪な質問をしてもいいでしょうか? ヘイトと違って賛否両論の感想を聞いたのが、ルールブック全体のつくりでした。最初に独自の用語やルールの定義をきちんと説明してから、セッションの流れという構成は、きちんとルールを理解したい人からは「分かりやすい」という意見が、逆に早く遊びたいという人からは「なかなかルールが頭に入ってこなかった」という意見が聞こえました。この構成の狙いは何だったんでしょうか?

橙乃「ここは特に意図した部分ではないんですね。結果として、僕らの実力が足りなかったところと認識しています。ルールブックに盛り込めなかった索引は特にそうですね。ここは開発チームで考えていた優先順位に、おそらくはユーザーとの齟齬があったんだと思います」

エリッサ「ユーザー自体の分析や検討も必要なのだと今は考えています。えーっとつまり『ログホラTRPGを遊んでくれているのは、どんなユーザーなのか?』ですね。ユーザー層によってルールブックに期待するものが異なりますよね。その意味では、こちらの想定よりも(索引があったり、セッションの流れから入ったほうが良い)従来的なルールブックを求める層が多かったのでしょう。今後は、遊んでくれているユーザー層を分析して齟齬を減らしていきたいですね」

■ユーザー参加を積極的に応援していくサポート

公式サイト「ログ・ホライズンTRPG冒険窓口」

公式サイト「ログ・ホライズンTRPG冒険窓口」は、作品情報はもちろん、サンプルシナリオなどのコンテンツや、ログホラTRPGのキャラクターを登録して公開できるなど、盛りだくさんの機能を持つ総合サイトだ

──索引で一つ思い出したこととして、有志の方が索引ツール作られていますよね。それだけでなく、ログホラTRPGは有志の方のツール制作が活発で、当初から仰っていたように、作品とユーザーの距離が非常に近いのがよく分かる事例だなと感じました。もちろん、公式サイト『ログ・ホライズンTRPG冒険窓口』でのキャラクター登録や、JSON※15出力といったアプローチもされている。JSONはツール制作者の方から大きな反響があったと覚えています。こうしたサポートはどう意識されているんでしょうか?

※15 JSON:アプリケーション間のデータ交換に使われるデータ形式の一つ。ログホラTRPGの冒険窓口では、登録したキャラクターをJSONで出力できる。これを活用してツールを制作すれば、オンラインセッションツール「どどんとふ」に自動的にデータを反映させたり、ブログパーツとしてPCを紹介したりといったことが可能になる。

橙乃「ログホラTRPGのルールブックでは、『何かを作る人』をディベロッパー※16という言葉で再定義して、応援しているんですね。従来のTRPGでは、たとえばシナリオを作るのはGMの役割とされていて、GMパートにノウハウが書かれていましたよね。この切り分けは、制作側の強い意志があって反映されてきました。
本来この切り分けって悪手とされていたんですよ。(GMとディベロッパーを分けてガイドすると)どうしても10Pとか20Pとか本文ページがかさむんでルールブックのページ負担が増すんですね。
今回は『何かを作る』をGM以外のユーザーにも挑戦してもらおうと別チャプターとして切り分けたんですが、TRPGの運営っていう視点で見て、やって良かったなあと思ってます。『何かを作る』っていうのも『ユーザー参加』の一つの形ですよね? だから、そのルートは応援したかったんです。ログホラTRPGでユーザーの皆さんのUGC(ユーザー生成コンテンツ)が増えているのは、まさにプラスの効果が出てきている事例で、うれしいですね」

※16 ディベロッパー:ログホラTRPG周辺のさまざまなオリジナルコンテンツ(シナリオや、NPCや、エネミーデータ、リプレイさえも含む)を作成する人(『ログ・ホライズンTRPGルールブック』より抜粋)。ログホラでは公式も、最大のディベロッパーとして位置付けており、Webを通じた大小のディベロッパーの活動により、ゲームを遊びやすく、創作活動を活発化できるようにと後押ししている。

──現在のUGCの活発さは、当初からの狙い・期待通りということですか?

エリッサ「最終的にはメリットがデメリットを大きく上回ると考えていたんですが、ここまで早くこんなに芳醇な作品を皆さんが作ってくれるとは思っていませんでした。うれしい誤算です」

橙乃「実はログホラTRPGはそんなポイントが多いのです。『今までにないチャレンジなので短期的にはどうしたってデメリットになる』けど『運営とか先行きを考えるとそのチャレンジをしておこう』みたいな判断ですね。ルールで言えば、ヘイトやタグ※17、ミッション※18が該当しますし、Webでのサービスもそれに当たりますね」

※17 タグ:特技やアイテム、キャラクターの特徴を短い単語で表したデータ。キャラクターの装備制限がタグによって決まるなど、フレーバーはもちろん、ゲームデータとしても活用される。
※18 ミッション:集団戦闘や議論、旅などのシチュエーションをミニゲーム化したもの。ゲーム内の多様なシチュエーションを演出だけでなくゲームとして楽しめるログホラTRPG独自のルール。

──期待通りなのはログホラTRPGが楽しまれ、愛されていればこそでしょうが、その盛り上げを大きく後押ししている理由の一つがセルデシア・ガゼットに代表される、図抜けたWebサポートですよね。これは広報エリッサさんの活躍もそうですね。ミニサプリメントなんて「無料でいいの!?」って驚きがありました。

エリッサ「えーっと、お恥ずかしい話をしますが、そもそもサポートにそんなにお金かけてないんですよ。ほとんどの作業は内製ですし、開発ツールに無料のものを選択するとか、既存のサービスを上手く組み合わせるとか工夫しています。GoogleDoc、OpenOfficeなどがそうですね。実際あのPDFもAdobeのInDesignなどではなくて無料のOfficeで出力されています。冒険窓口はさくらインターネットのサーバですし、開発の本拠はクローズドなWikiでおこなわれています。エネミーデータの検証をされた方は気づかれていると思うのですが、あの種のデータを出力するためのミドルウェア的なツールも内製で生産性を底上げしています」

橙乃「エリッサソロですしね」

エリッサ「TVCM流すような広報予算はないのでソロです(涙)」

橙乃「その甲斐ってわけじゃないですがログホラTRPGに関していうと単体でちゃんと黒字です。また、僕らのサポートが図抜けているとは思っていないんですよ。僕らは、たとえばコンベンションの主催はできませんし、してません。その他にもやっていないサービスが沢山あるんですよ。サポートが充実していると感じていただけているとしたら提供サービスの選択と集中によるものですね」

──なるほど。では、今後は、どのサービスに注力するご予定でしょうか?

橙乃「そうですね。『TRPGというプラットホームをつかって、TRPGゲーマーをはじめとして、二次創作畑の人や、ログホラの書籍やコミックやアニメのファンの人へ、このワールドに参加してもらう場を作る』ことが目的なので、そういう意味ではWebはやはり中心となっていきます。『ログ・ホライズンTRPG冒険窓口』での登録数が2万人に達しました。増加率もまだ鈍ってない状況ですね」

2万人以上が利用するキャラクター登録所には、公式キャラや橙乃ままれ先生のキャラクターも

2万人以上が利用するキャラクター登録所には、公式キャラや橙乃ままれ先生のキャラクターも

 

──まだまだ増える、ということですか。凄い勢いですね。

橙乃「実際、セッションの稼働も追跡調査してるんですけれど、もっと増やしたいですし、実際に遊んでほしいんです。そのためには、シナリオのリリースもしなければなりません。でも、その辺はマンパワーがかかるので、ヒイヒイ言いながら苦労することになると思います。こんな風に、他人事みたいに言わないと泣いちゃいます(笑)」

エリッサ「エリッサは広報なので泣きません(笑)」

──橙乃先生にそう意気込んでもらえると、ファンの皆さんも期待が高まると思います。小説もあり、メディアミックスの監修などもあるでしょうから本当、体一つじゃ足らない忙しさですね……お疲れ様です。では、今後の展開として、ログホラTRPGの新作、新しい動きなどありましたら教えてください。

エリッサ「それでは、気になる今後ということで。まず、サプリメントが2015年初夏を目標にリリースするべく製作進行中ですね。それから、リプレイ第三巻。こちらは春にはお届けできると思います。そのほかTRPG関連の企画――ニコニコ闘会議でのライブイベントが進んでおりますのでご期待ください」

──リプレイは結構間を明けずに来てくれるんですね。その他の企画というのは、まだ漠然としたジャンルも教えられないぐらいのシークレットなんでしょうか?

エリッサ「もちろん、お知らせできるようになったら広報エリッサのほうから、詳しい、そして最新の情報を報告いたします!」

──では、ファンは期待をふくらませて待機すると思います。引き続きエリッサさんに伺いたいのですが、広報としてファンと直接交流する中で印象深いエピソードなどありましたら教えてください。

エリッサ「広報としてのエピソードと言いますと、海外でも遊ばれているというのがありますね。台湾からセッションの様子がリプレイ風に上がっていて、楽しみにしてます。他にもpixivなどで絵をアップしてる方も多国籍です。もちろん、日本のユーザーさんもたくさんイラストを描いてくれていて大変感謝です。台湾の方は最初はTwitterのハッシュタグ経由で知ったんですね。そのあとは追いかけてます」

──そうして追いかける方が増えると、エリッサさんもますます大忙しですね。
では、再び橙乃先生に、多くのファンが楽しみにしているだろう原作の執筆予定はいかがでしょう?

エリッサ「原作は『小説家になろう』でエピソード9の連載が終了しました。書籍情報も近日中にお知らせできると思います」

橙乃「エピソード10のタイトルは『ノウアスフィアの開墾』。アイザックとカラシンが活躍しますよ。そのほかストーリー的にも曲がり角です」

──ファンの皆さんに、最後にメッセージを頂けますか?

橙乃「連載も、小説も、コミカライズも、アニメも『ログ・ホライズン』はみんなが遊べるお祭りです。TRPGがこのワールドに参加するきっかけになればいいと思っています。やっぱりセッションするのは楽しいですから! それにセッションやその楽しい様子は感染していくので、楽しい気分を交流でどんどん分かち合ってほしいです。それが橙乃の最大の望みです。そのために原作もTRPGもまだ続きますよ!」

──力強い宣言、私も一ファンとして楽しみです。本日はお二人とも、貴重なお時間を頂きましてありがとうございました!

 


ログ・ホライズンをはじめ橙乃先生の作品情報を掲載する「橙乃ままれinformation」

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シナリオや追加データを無料で配信!サービス満点のセルデシアガゼットは月刊で公開

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公式サイト「ログ・ホライズンTRPG冒険窓口」

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