twitterでだらだらつぶやいていたら、以外と反響があったので纏めておきます。
あくまで私が考えるTRPGについての価値観の話であり、この記事の事を強制するつもりも勿論ありませんので、「こういう考えの人もいるんだな~」程度に見てもらえたらと思います。
今回は主にロールプレイについてお話します。TRPGは自由度が売りの遊びです。そのため、色々な行動を起こして楽しむことが出来ます。ただし、その結果についてはきちんと責任を持つ必要があります。セッションという空間の中で、物語に行動を起こして結果を得る事をここでは「ロールプレイ」と称することにします。
PLは、ロールプレイの結果起こった出来事の責任を負う
PLは、自由にキャラクターを動かして物語に行動を起こす事ができます。依頼を受けてすぐにダンジョンへ行かずに道具屋で装備を揃えて、ついでに酒場によって情報を集める。なんてこともできます。その一つ一つの行動について、GMはTRPGのルールに照らし合わせて場面を描写していきます。
TRPGは、「PLが行動を起こして」「GMが処理して結果を返す」遊びのように見えます。ただ、ここで「GMが処理して返すわけだから、全ての責任はGMに集中している」と考えるのは間違いです。
本当は「PLが行動を起こし」「GMが処理して結果を返し」「PLが受け取る」という3つの段階があります。この流れで、最初と最後の部分、「行動して」「受け取る」部分についてPLは責任を負わなくてはなりません。
難しい話じゃないです。依頼を受けて寄り道してるなら、最終的にしっかりと依頼を達成するために本筋に戻ればいいだけです。楽しく物語をつくり上げるために自然に動けば何も問題ありません。
しかし、この部分についてキチンと理解していないとTRPGのバランスは簡単に崩れます。
GMは皆が楽しく遊べるように物語の大まかな道筋、シナリオを用意してくれています。上記で言えば依頼を受ける前提でお話を組んでいるというような感じですかね。物語がキチンと楽しく遊べるように、一応の道筋があるわけです。これを無視して本筋から外れて、最終的にどうにも風呂敷をたためず歯切れの悪い終わりを迎えてしまう。これはPLが行動の結果を全てGMに委ねてしまい、物語を作ることを放棄した結果です。
具体的な例をあげると、「町外れにある館にいる吸血鬼を倒して欲しい」というセッションで、館の中に入らず外から火をつけて燃やす。という行動をした結果、村に火が燃え移っただけではなく周囲の森にまで広がり、PC達は命からがら逃げ出すことしかできなかった。それだけではなく国中から指名手配される事になった。というような感じです。火をつけたのはPL達で、そしてその結果を受けるのもPL達です。この状況になった結果の責任は、火をつけたPL達にあります。
町中で包丁を突然出せば逮捕されます。山に火をつければ山火事になり中のモンスターが大量に出てきます。当たり前ですね。これらの行動と結果について、PLは責任を取ります。とはいえ実際のところ、責任を負えないでしょうから、GMは「それやったらこうなちゃうよ」などとデメリットの説明をして確かめます。それでも強行するとしたら、PLはキチンと責任を取り、物語を紡いでいく必要があります。TRPGは皆で遊ぶコミュニケーションゲームです。全員に等しく責任があります。
ここで「逮捕されて出られなくなるとは思わなかった」「本当に燃えると思わなかった」と不満を漏らしたり、「こんな結果にするGMがダメだ」と評価を下すのは、完全に責任の範囲を勘違いしています。
GMの責任は、PL達の行動の結果をルールや世界観に合わせて返す事
では、GMにある責任とはなんでしょう。GMの責任は、PL達のやりたいことを汲み取り、物語にきちんと反映させる部分になります。GMはPL達に楽しんでもらうために物語を作り、セッションを開きます。参加者という意味では、PLと一緒に物語を楽しみます。けれども、その物語に対して行動を起こしていくのはあくまでPLになります。
GMも参加者として、一緒に物語を楽しみたいです。だから、あまりにもGMの裁量を超える行動をした時には「それはできないよ」と止めたりします。とはいえ、GMは神様ではありません。「なんで?」「どうして?」などと食い下がるPLに対して答えをキチンと全て用意出来るわけではありません。とはいえここで行動を許可し、その結果を返した所で、PLはきちんとロールプレイ出来るでしょうか?
PL「館に火を付けたい!!」
GM「え!うーん・・・えーっと、それはできないよ」
PL「なんで!スキルあれば燃やせるじゃん!!」
GM「うーんえーっと、あーうー。あー、困るんだけど」
PL「知らん! 燃やせるんだから燃やす!」
GM「・・・・けどその結果責任取れるの?」
PL「取れるよ!!!」
GM「うーんとじゃあ貴方は館に火をつけた。館はゴウゴウと燃えている。・・・・で?」
PL「え?」
GM「で、どうするの? というかどうなんの?」
PL「えーっと・・・館はどうなってるの?」
GM「燃えてるよ」
PL「敵は?」
GM「わからないよ」
PL「えーっと調べる?」
GM「んーどうやって?」
PL「どうしよう?」
GM「考えてないの?」
(以降やりとりが続く)
これは極端な例ですけれど、明らかに不毛ですね。GMも人間です。突拍子のない行動についてその一つ一つを予め想定して答えを出し先回りする事は出来ません。また、そのような能力をGMに強要するのは間違っています。TRPGはGMを困らせるイジメ遊びではありません。GMは敵ではなく、PLと同じ参加者の一人です。モンスターをどうしても倒したくない非殺生キャラだとか、女の子を見ると殺したくなるシリアルキラーだとか、宝箱を見るととりあえず開けて罠は全部発動させるトリックスターだとか。そういった突飛な行動をするPL達の行動の結果を一つ一つ物語に反映させて、しかも今後のシナリオ進行に問題がないように臨機応変に組み替えて描写するなんてのは、離れ業です。また、そういった突飛な行動してGMを困らせたなんて誇るのも間違ってます。
そして上記やりとりの結果、どうしようもなくなりセッションから退席願うのも物語がキチンと進むために必要な事かもしれません。とはいえその後の空気がどうなるのかあまり想像したくないですね。また、PL側全員がやろうと言った場合はどうしましょう。うーんあまり考えたくない状況ですね。
行動の結果はPLが持ちます。館を燃やしたら、その結果物語がどうなるのか、きちんと整理して紡いでいく責任があります。物語を変更したら、その物語がどうなるのかの責任をPLは負います。GMは物語の進行役ではありますが、GMだけに物語をキチンと終わらせる責任が集中しているわけではありません。
物語をきちんと終わらせる責任は、参加者全員にあります。
TRPGはコミュニケーションゲーム
TRPGはコミュニケーションゲームです。物語がキチンと進行するように、参加者が全員で協力し、ゴールへと進むのがTRPGという遊びです。物語がきちんと進行するためには全員が自分の責任をしっかりと理解し、取り組む必要があります。ここで認識を間違えて一人突飛な行動をすると、物語は破綻し、セッションは崩壊します。
物語を外れた行動をするのならば、参加者全員で示しあい、全員が納得した上で外れましょう。きちんと全員が了解して、協力しながら物語を外れたならば、それはキチンと正しい終わりを迎えられるはずです。
誰かが変な行動をしようとするならば、それを止めるのもまた他のPLであるべきです。GMはあくまで物語を進行するためにルールの裁定をする存在であって、強制できる存在ではないのですから。
GMは神ではない
GMは神ではありません。物語を用意して、PL達に描写していても、同じ参加者です。これは完全に私の持論ですが、GMには結局のところ強制力はないと考えています。PL達がやりたい! と思っているのならば、それができればPL達はきっと楽しいはずなのです。その結果に責任が取れるはずなのです。館に火を付けたいならば、その結果をきちんと説明し、念押しした上で、その結果を見せるのがGMの責任だと思います。そしてPLは結果を見て、物語に対する責任を持つべきです。PL達が望んだ結果なのですから、その後どうするかを判断して行動しなければなりせん。
逆に、「どうしても火はつけられない。良いから館に入れ! というか入った! 中は真っ暗だ!」とか「突然貴方達の視界は真っ暗になり、気がついたら館の中だった!」なんてされて、PL達は楽しいでしょうか。TRPGは自由に物語にアクションを起こせるからこそ楽しいのです。だからこそ、PLと、GMにはそれぞれ責任範囲があって、参加者は全員が協力して物語を紡ぐ必要があります。この前提があるからこそ、TRPGは自由度があって、楽しく、夢中になれる遊びになっています。
PLの行動をある程度誘導できるようにシナリオを組むべきか
twitterでこの話をしている時に、依頼を既に受けた状態にするとか、ダンジョンの中から始める、など、ある程度PLたちを誘導できるようにシナリオを作ればいいのでは? という声を頂きました。シナリオをキチンとスムーズに進めるために、そういったテクニックは正しいかと思います。ただ、結局のところあらゆる行動を予想してシナリオを組むというのはそれだけで大変な重労働で、GMに相当な負担をかけていると私は思います。また、先述した通り、GMには強制力は無いので、どれだけシチュエーションを固定しても、予想外の行動をするPLに対して強制力を働かせることは出来ないと考えます。
GMが責任の範囲をまちがえてもバランスは崩れる
さて、PLのロールプレイに関しての話が主でしたが、この話はGMにもまた当てはまります。
TRPGを「PLが行動を起こして」「GMが処理して結果を返す」という2つの工程だけで判断して、全ての責任がGMにあるとGM自身が勘違いしていると、これまたバランスは簡単に崩壊します。極端な話、吟遊詩人化します。延々とNPC同士がしゃべり、モンスターをNPCが倒してしまう。物語が物語として完結させることに終始して、PLたちを観客としてしまう。責任が全てGMに集中していますから、PLたちを楽しませようとしてやりすぎてしまう。
PL達の行動についても、少しでも想定と違うと許可出来ず、物語への反映を拒む。
極端な例ですが、話を聞く限りそういったGMさんもちょこちょこ居るようですね。結局のところ、そういう人たちはGMという役どころについて、責任の範囲を間違えているのだと私は思います。
全員がその場に居るために時間を作っている事実を忘れないこと
結局のところ気づかいの話におちつきます。セッションをするために、皆時間を作り、楽しみにしながらその場に居ます。GMはどんな物語にしようかとマップを作ったりアイテム表をこしらえたり敵を作ったりしているでしょうし、PLもどんなキャラクターを作ろうかルールブックを眺めてスキルやステータスの組み合わせをあれこれ考えていたりします。
そういう風にして集まった参加者全員が楽しめるように、しっかりと物語を協力してつくり上げるのがTRPGという遊びです。自分のアクションに対してしっかりと責任を取り、皆で楽しく取り組みたいですね。
TRPGの質問・疑問に答えるチャットを開設しています。お気軽にご参加ください。
→TRPG チャット