『永い後日談のネクロニカ』で知られるゲームデザイナー神谷涼先生の作品は、ネクロニカの独特な世界観以外にも、“物語る”ことを重視したTRPG作品が多いのも特徴の1つと言えるでしょう。中でも、根強いファンを持つTRPG『ゆうやけこやけ』『鵺鏡』の2作品を扱うオンリーコンベンションが4月末に開催されることになりました。
この2つの魅力的なイベントを企画・主催したのが、5年以上の長きにわたってインコグ・ラボ作品を中心としたコンベンションを開催してきた「TOY☆BOX」、そして全国初と思われる鵺鏡オンリーコンを開催した歴戦の鵺鏡好きが集う「卓遊堂」の2団体。4月末という開催日も告知され、その参加募集を今か今かと待っているファンも多いことでしょう。そこで、両団体の主催者さんに、今回のコンベンションの仕掛けや意気込みを聞いてきました!
◆ゆうやけこやけオンリーコン/TOY☆BOXさん
永い後日談のネクロニカ・オンリーコン「箱庭茶会」をはじめ、メイドRPGオンリーコン、インコグ・ラボコンなど、神谷涼作品を愛するコンベンション団体が「TOY☆BOX」さん。昭和の雰囲気を漂わせる田舎町などを舞台に、人に変身できる獣“へんげ”として町のトラブルなどを解決するTRPG『ゆうやけこやけ』もまた同団体が長年コンベンションで取り上げてきた作品です。
同団体は「“ゆうこや”が軸となってくれて、沢山のお話を作り、沢山のイベントに参加し、沢山の人と遊んできました。だから、ずっと付き合い続けてきた相棒のような思い入れがあります」と愛着を語ります。その好例として、前回にコンベンションに初参加したファンの1人が、今回は語り手※として参加することを挙げます。
※『ゆうやけこやけ』におけるGMの呼称
「前回のコンベンションが縁となって、その後も何度もオフセッションをご一緒してきた人なんですよね。毎回本当に楽しそうに遊ぶ姿が印象的で。(イベントが)切欠となって世界が広がり、その先に進んでいく子たちを見られるのが本当に嬉しいです」とやり甲斐を語ります。まさに「TRPGは接触感染」を実現しているコンベンションなのです。
そして、期待の今回はといえば、「歳時記」をテーマに12卓で12ヶ月の物語を描くといいます。1つの町の1年、それぞれの月を卓ごとに体験できるとのこと。これまでも、全卓を連動させるリンクセッションなど意欲的なギミックコンベンションを開催してきた同団体だけに、「1卓が1月を担当」するのがセッションにどう生かされるのか楽しみです。
「(コンベンション開催は)ゆうやけこやけというシステムが好きだから……というのが一番の理由ですが、今、自分が一番やりたいことを皆さんと一緒に共有し、楽しいお話を作り上げるために必要な形を考えた結果が、12卓という過去最大規模でのコンベンションでした。現在、ルルブが入手困難なゆうこやだからこそ、ぜひ遊びに来ていただきたいです。ここなら、絶対にゆうこやが遊べます! 町の歳時記を住人となって綴る1日を一緒に過ごしましょう!」
・サイトURL:http://toyboxso.blog.jp/
・Twitterアカウント(主催者):https://twitter.com/inufukusan
・日時:2018年4月29日(日)10:20開演
・場所:ユニコムプラザさがみはら ミーティングルーム1・2
(小田急線「相模大野」駅、bono相模大野サウスモール3F)
・募集人数:48名(12卓)
・募集開始時期:2018年4月1日(日)23:00~
◆鵺鏡オンリーコン/卓遊堂さん
一方で、平安幻想夜話『鵺鏡』は2016年に基本ルールブックが発売された、多数ある神谷涼作品の中でも比較的新しい作品です。にもかかわらず、卓遊堂さんではすでに2回開催し、今回が3回目と比較的短いスパンでオンリーコンを開催してきました。驚くのが、その強い反響。初回から10卓40名もの大規模コンベンションを企画したところ、すぐ参加枠が埋まってしまったそうです。そんな鵺鏡の魅力を、卓遊堂さんはこう語ります。
「鵺鏡のシステムって、PL同士の話し合いが求められる仕組みになっていて、結果すごくRPが捗るんです。我々全員がこのシステムに魅了されてしまっています。こんな素敵なシステムをもっと色んな人にも知って欲しい、体験して欲しいという思い、やれる場所が無いなら作ろう! オフラインセッションでよりPL同士の話し合いが活発になり楽しさを感じられるのでは! というのがコンベンションの開催のきっかけでした」
ただ、鵺鏡の舞台は、妖怪などの怪異に支配された平安京という、ゲームやライトノベルでもあまり見かけないものです。本来馴染みのない舞台は敬遠されそうですが、実際に遊んでみるとハードルを感じることなく、多くのプレイヤーが濃密なコミュニケーションと物語ることを楽しめると言います。
「PL同士は協力しているのに、PCは敵対しているという構造(のセッションを遊べるの)が楽しいんです。それに、コンセンサスの上で、PCに酷いことをしたり、させたり、幸せにしたりと、同じシナリオを何度やっても同じお話になりません。全員で物語を作っていく達成感と、満足感を得ることができるのが鵺鏡なんです」
その没入感を強めようと、和装で会場を訪れた参加者が多いのは、同コンベンションならではの特徴でしょう。前回もGMやPLの和装、そして和の小物などのおかげで、会場はひときわ華やいだ雰囲気になりました。もちろん、今回もそうした鵺鏡への思い入れは負けていない、といいます。
「企画サイド納得のGM陣にご協力いただきました! 特殊な卓もあれば、これぞスタンダードな鵺鏡!という卓もあり。どの卓に行っても楽しめること間違いありません。まだ鵺鏡がしたことがないという方、もっともっと遊びたいという方、お待ちしております。この日限りの舞台、一期一会の演目で余す所なく遊びましょう」と強い意気込みを語ってくれました。
・サイトURL:https://takuyudo.wixsite.com/nuecon2018
・Twitterアカウント(主催団体):https://twitter.com/takuyudo
・日時:2018年4月30日(月・祝)10:15開演
・場所:板橋区立グリーンホール 601
(東武東上線「大山」駅ないし都営三田線「板橋区役所前」駅)
・募集開始時期:2018年3月31日(土)23:00~
・募集人数:40名
話を伺って何より感じたのは、強い作品愛です。その思いがあればこその、大規模なコンベンション、そして強力なGM陣なのでしょう。
なお、いずれも魅力的なコンベンションとあって、前回の募集は即日参加枠が埋まってしまったとのこと。参加したい方は「募集開始時期」を要チェックです。名うてのGM揃いなので、『ゆうやけこやけ』『鵺鏡』に興味があったという初参加の皆さんも楽しめることでしょう。スケジュールへのメモをお忘れなく!
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