皆さんは「キャットアンドチョコレート」というボードゲームをご存じでしょうか。グループSNEがリリースした、お題に対してアイテムカードを使って大喜利をするゲームです。
ボードゲーム「キャットアンドチョコレート」レビューと感想|Board game every day
例えば「同姓に告白された」というお題が出されたら、それに対してアイテムカードでこれを解決する必要があるわけです。「鏡」を使って「『ごめん、俺今好きな人が居るから』といって自分を見てうっとりします」といった塩梅です。
そんな「キャットアンドチョコレート」を使ってTRPGが遊べないかと前々から考えており、今回その草案を組み上げてみました。
ゲーム概要
タイトル:「キャットアンドチョコレートTRPG」
プレイ時間:30分~飽きるまで
プレイ人数:GM含めて4人~8人
傾向:ロールプレイ傾向強め、戦闘なし
用意する物:好みの「キャットアンドチョコレート」のアイテムカード(お題カードは使用しません)、ダイス二つ、紙、えんぴつ
ゲームの準備
キャラクター作成
まずはキャラの作成を行います。といっても、「キャットアンドチョコレートTRPG」(以下『キャッチョコTRPG』)には決まった世界観やキャラクター作成ルールはありません。このゲームではキャラクターにおけるステータス、装備、スキルといった類いの物は一切用意されていません。なので、自由に名前、容姿、設定などを組み上げます。
もし一定の世界観が必要なのであれば、既存のTRPGのキャラクター作成パートを流用してキャラクターを作ってください。クトゥルフ、ソードワールド、キルデスビジネスなどなど、メンバーの好みに合わせてキャラクターを作成しましょう。もちろん皆が了承するならそれぞれのTRPGを混ぜて作っても構いません。
カードの配布
キャットアンドチョコレートのアイテムカードを四枚ずつプレイヤーに配ります。この時、一枚を表にして場に出します。キャッチョコTRPGでは、カードこそが全てを表します。そのキャラクターは既にそのアイテムを身につけていると考えます(以下『装備カード』)。残りの三枚はそのまま手札として持っておきます。
キャラクターの紹介
それが済んだら一人ずつキャラクターの紹介を行いましょう。この時、場に出されたアイテム(装備カード)も絡めて紹介するようにしましょう。
セッションと判定
実際にセッションする場合、基本的にオーソドックスな進行になります。GMの描写に合わせてプレイヤー達はロールプレイを行いながら物語を薦めていきます。しかし、判定の方法は少しだけ特殊です。このTRPGでは、判定を行う前にカードを使ってロールプレイをする必要があります。
また、このTRPGでいう「判定」とは、GMから出されたお題に対して「どのような結果になるか?」までを含めてロールする必要があります。
例えばお題としてGMが「扉の向こうからうめき声が聞こえる・・・。」という流れを振ったならば、PLは「鍵穴からそっと覗き込みます。なんと中に居るのは人間に変身途中の大きなオオカミです。なんとも隙だらけですよ!!」と、お題に対して好きなように物語を紡いでいきます。
基本的に回答は結果までを含めてロールし、その後ある程度物語が続けられるように次の展開への繋ぎで切るように出来るとベターです。もちろん好きなように回答して貰って構いません。勿論、その回答について「回答たり得ない」と判断されると、却下される場合もあります。
通常判定
判定に対して一人で挑む場合、それは「通常判定」となります。通常判定には六面ダイス二つを使います。
GMが出したお題に対して、カードを一枚プレイし好きなようにロールプレイをしてその場面を解決します。その後、ダイスを振り、出た結果によって成功したならば「物語が確定」し、PLのロール通りに物語が動きます。目標値はGMが決めますが、基本的には5が目標値になります。この時、ロールしながらカードを二枚以上使った場合、ダイスロールをそのカード枚数分行う事が出来ます。これにより、高難易度の判定には意図的にカードを複数枚プレイしてそれに応じたロールプレイをして成功させることが出来るようになります。
判定に成功したら、判定に使ったカードを一枚選び、キャラクターに表向きに装備させます。
キャラクターに装備された表向きのカードは、通常判定のロールプレイ時に描写すると一枚に付き修正値+1がつくようになります。もちろんそれがあまりにも合わないとGMに判断されると修正値はつきません。
支援判定
判定に失敗した場合、判定を行ったPL以外のPLが「支援判定」を一回ずつ行う事ができます。
これまでの判定におけるロールプレイに付け足す形で、支援判定を行うPLはカードを一枚出し、そのカード内容を織り交ぜたロールプレイを行います。
例:「扉の奥から音が聞こえる」というお題に対して「それはオオカミだった」というPLの通常判定が失敗→支援判定により「メガネ」のカードをプレイし「このメガネにより細かな毛並みまで見えるようになる。なんとこのメガネは望遠レンズメガネなのだ。オオカミの背中にケガが見えたぜ」というロールプレイを行う。
ロールプレイが終わったら、6面ダイスを一つ振り、その結果を先の判定結果に足し合わせます。判定が成功したら、判定に使ったカードをキャラクターに裏向きに装備させます。
支援判定では、装備カードや、一度のロールで複数枚のカードをプレイする事はできません。一度支援判定を行ったPLは、その判定にはもう支援判定に参加できません。
対抗判定
二人以上のプレイヤーが一つの判定に同時に参加すると「対抗判定」となります。対抗判定ではダイスは使いません。
まず、対抗判定の参加者は手札から一枚カードを裏向きのまま、他の参加者の前に置きます。全員が配り終えるまで待ちます。
自分の前に二枚以上カードが来た場合は、その中身を見て、好きな物を一枚自分の前に置き、残りをまだカードの配られてない参加者の前へと置きます。
全員に一枚ずつカードが配られたら、対抗判定の準備が完了となります。
対抗判定では、全員が配られた一枚のカードを使ってそれぞれがロールプレイを行っていきます。GMがダイスを振るなりして順番を決めて、一人ずつ「通常判定」や「支援判定」と同じようにお題に対するロールプレイを行っていきます。
参加者全員がロールプレイをし終わったら、指さしによる投票を行います。GMを含む、ゲームに参加している全員が「誰が一番面白かったか?」「誰のロールプレイの定着した物語が遊びたいか?」といった様々な基準で一斉に指さしを行います。一番投票が集まったプレイヤーのロールプレイが採用されて物語に定着します。
一番投票が集まったプレイヤーはロールプレイに使ったカードを表向きに装備カードとし、それ以外の一票でも投票が入ったプレイヤーは裏向きに装備カードとします。
さらに、三名以上が参加する対抗判定で一番投票が集まったプレイヤーは、カードを一枚手札からGMに渡す事が出来ます。これはGMに対する無茶ぶりであり、挑戦でもあります。
GMはその受け取ったカードのアイテムをキーとして、そのアイテムに合わせた物語を展開する必要があります。GMにカードを渡した場合は、そのPLはカードを一枚ドローしてください。
エンディングの対抗判定
物語が大詰めとなり、締めというタイミングに来たら、GMも含めた全員で対抗判定をすると面白いでしょう。この時、GMは山札から3枚カードをドローしてそこから出す1枚を選択すると良いかと思います。
良い物語を作りましょう!!
通常判定から対抗判定への発展
通常判定を行う時、まだ誰もカードをプレイしておらず、ロールプレイもしていない時に「自分もその判定に参加したい」と提案し、それにGM、判定参加プレイヤーが同意すれば対抗判定へと発展します。この時の運用ルール「対抗判定」と何も変わりません。
判定の提案
PLは好きなとき、好きなタイミングで判定の提案を行う事が出来ます。
この時、PLは判定するためのお題をPL自身が宣言する必要があります。それ以外は「通常判定」「対抗判定」と同じです。
細かいルール
手札上限
プレイヤーの手札は四枚が上限となります。5枚目のカードは受け取れません。もしも5枚目のカードを受け取った時は、4枚になるようにカードを捨て、数を調整しましょう。
ドロータイミングの注意点
このキャッチョコTRPGでは、カードを使ってもすぐにドローする事はほとんどありません。なので、何も考えず判定にカードをどんどん使っていくとすぐに手札が無くなってしまいます。
カードを山札からドローできるタイミングは基本的に以下しかありません。
①対抗判定にて、一番投票されたPLがGMにカードを渡した時
②装備カードの使用
③判定で手札を使い切ったとき
④セッション中にて、PLのロールプレイが面白いとGMが判断したタイミング
⑤GMからの指示
装備カードの使用
キャラクターに装備されたカードを使用する事によってセッションを有利に進行する事が出来ます。いずれも指定されたタイミングで実行する事が出来ます。表向きの装備カードを使った場合、そのカードは裏向きとなります。裏向きのカードを使用した場合、そのカードは捨て札となります。
①通常判定・支援判定時のダイスロールの振り直し
通常判定、支援判定の時のダイスロールの結果を見て、気に入らなければ装備カードをプレイする事によって振り直しをする事が出来ます。この振り直しは、一度のダイスロールにしか適応されません。通常判定にてカードを複数枚プレイした時にできる複数回ダイスロールをもう一回行えるわけではありません。そのうちの一度のダイスロールを振り直せるだけに留まります。
②カードのドロー
任意のタイミングで、いつでも実行できます。カードを一枚ドローして手札に加える事が出来ます。この時、二つ一度に装備カードを使用すると、カードを三枚ドローする事が出来ます。(表向きのカードを二回連続で使う、二枚の裏向きのカードを使う等)
手札を使い切った時
判定の開始時点で手札がない場合、カードを一枚山札からドローする事が出来ます。
ドローの対象者は通常判定・対抗判定に参加する場合のみとなります。手札がない状態で支援判定を行う事はできません。
手札がない状態でもGMに判定の提案をして通常判定・対抗判定を行う事は通常通り可能です。その場合、山札から一枚カードを引いて判定に参加してください。
PLのロールプレイへのGMによるカードの配布
判定時以外の通常時、セッション中のPLの言動に対して、GMは面白いと思ったらカードを配布する事が出来ます。
山札からカードを一枚取り、PLに渡します。
プレイヤー間のカードの交換
判定時以外の通常時、PL間でカードの交換を行うことが出来ます。この時、交換に使うアイテムを実際にロールプレイに交えてPC同士で交換させましょう。
この時、必ずカードを1枚同士で交換する必要はなく、2:1でも、一方的な譲渡でも問題はありません。
GMパート
GMへのマスタリングアドバイスを主としたパートとなります。
このTRPGは「プレイヤーに物語の手綱を預ける」特殊なものとなりますので、通常のTRPGとは少し勝手が違うかもしれませんが、気軽に取り組んで貰えるといいなと思います。
このTRPGに相性の良いプレイヤー
このTRPGは、非常に大喜利色の強く、物語に対するプレイヤーの負荷が高い傾向があります。
プレイヤー傾向として、戦闘思考、スキル・データスキーな方には向かないと思われます。
遊ぶ時はきちんとロールプレイ傾向が強く、戦闘が無い事を告知した上で遊ぶようにしましょう。
PLのロールプレイに対するツッコミ
PLが行うロールプレイに対して、掘り下げるようなツッコミを入れてあげるといいでしょう。そのアイテムはどういった物なのか、その使い方限定なのか、どんな色なのか、大きさはどれくらいか? 等々。PLが紡ぐ描写に対して、さらに物語が膨らみやすくなるようにイメージしていくと良いかと思います。
また、PLが言葉に詰まったり、何も思い浮かばなかった場合は、ちょっとした支援を入れてあげたり、どうしてもどうにもならない場合は皆で考えるなど誘導してがえるようにしましょう。「なんのカードを使うとしてるの? とりあえず見せてみて?」「こういう使い方もいいんじゃないかな?」「なんでもいいから言ってみると良いよ」「何を言っても構わないよ」
PLが着地点を見失い物語が中に浮いてしまった場合もある程度の所で切るようにしましょう。例えば、「扉からこんな声が聞こえたんですよ『かなしいよ~かなしいよ~』って。だからこの太鼓を使ってドンドン!! ってさらに大きな音を出しながら~あ~え~っと」って具合だったりしたならばそこで「OK、じゃあそこで切って判定してみようか」といった具合です。
他にも、プレイ中に適時「思いつかない場合は思いつかないで良い」「何を言っても大丈夫」と言ってあげるようにすると良いかと思います。
GMは物語を作らない
このTRPGでは、GMは描写はしますが物語を作るのはPLが行います。GMは判定の合間の繋ぎをほどよく用意して緩急を意識すると良いでしょう。
また、判定が続いていくことによって出来上がる物語の風呂敷をどうたたむのか。その意識を持つと良いかと思います。
もちろん、PLが物語を上手く思いつけなかったりしたら、ちょっとした助け船をだしてあげるようにしましょう。
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