シナリオ著者:いぬふく(TRPGコンベンション「TOY★BOX」)
戦いの中で出会った少年ゾンビ「スワロウ」。
彼に導かれた先には、傷ついた少女達を救う為に工場を動かし続ける「王子」と名乗るコンピューター。
果たしてドールたちは、彼らと、彼らの願いを守りぬくことができるのか。
永い後日談のネクロニカ「幸せの王子」
これは、終わった世界の終わらない後日談に綴られる出会いと別れの物語――
はじめに
60名規模のTRPGネクロニカオンリーコンベンション「箱庭茶会」を見事成功された、コンベンション主催者である「いぬふく」さんから、残酷ながらもしんみりと出来るシナリオの提供がありました。
初体験の方もがっつりとシステムとルールを堪能できるようになっています!
いぬふくさんが主催される各種コンベンションの案内はTRPGコンベンション「TOY★BOX」で行われるので関東圏にお住まいの方はこちらもチェックしてみてくださいね。
このシナリオについて
※以降NCの方のみお読みください。
- このシナリオはドールたちが終わった世界で旅をしているとき、起きうるであろう出会いと別れをテーマに作成しています。
- このシナリオではNCが積極的に悪意を振りまいているわけではありません。あくまでドール達の旅の1シーンです。対するのはすでにこの世界に振りまかれている悪意であると考えてください。
- 主軸になるのはNPCとして登場する少年ゾンビ「スワロウ」とスーパーコンピュータの「王子」。特にスワロウは無邪気な少年ゾンビとしてドールたちに関わらせて下さい。「あーう?」とか「あう!」 なんて言葉で反応してくれるとドールたちも程よく萌えてくれます。きっと。ドールたちは積極的にスワロウ、そして王子と関わるように誘導して下さい。そうすることで、クライマックスを迎えたときの選択がこの物語を一際美しく彩ることでしょう。
- このシナリオを遊ぶ際にはスワロウを生存させる方向でマスタリングを進めて下さい。参考としてスワロウが生存しない場合の分岐も記述していますがスワロウが死んだ場合はバッドエンドです。後半の戦闘で王子とスワロウを守り、エンディングに突入するのが理想的です。
プレイ人数:このシナリオは4人姉妹のドールを想定しています。
プレイ時間:このシナリオのプレイ時間5~6時間(オフセ、またはボイスセッションの場合)を想定しています。オンラインのテキストチャットでプレイする場合は前半3時間、後半5時間程度に考えていおくとよいでしょう。
シナリオの構成:前半パートと、後半パートに分かれています。
前半と後半の間に1度成長をはさみます。
登場する敵の悪意点:前半が38点、後半が55点です。
※前半の敵構成は基本ルールブックのサンプルシナリオ「死人工場」と同じです。
このシナリオは「基本ルールブック」の他に「箱庭の物語」のデータを利用しています。
「箱庭の物語」非所持の場合は一部ホラー、レギオンのデータを差し替えて遊んで下さい。
前半パート
カルマ「記憶のカケラを取得する」
カルマ「追っ手から逃げ切る」= 戦闘の勝利
前半パートはネクロニカが初めての人たち向けに各種判定(狂気判定は発生しませんが)と戦闘のチュートリアルを目的としています。
物語が本格的に始まるのはエンディングパートからです。そのため、描写を細かくする必要は特にありません。
ドールたちはすでに旅を続けている姉妹、という状態からスタートします。
そのため、すでに姉妹間の未練は取得済み、お互いの関係が出来上がっています。プレイ前にキャラクターの摺り合わせをしておくと最初のシーン作りがスムーズになるでしょう。
アドベンチャーパート
場所は廃墟と化した町。ゲーム開始時、ドールたちはアンデッド兵に発見され、追いかけらている状態からスタートします。逃げている間はロールはできても会話判定はできません。
まず、NCは以下の文章を読み上げて下さい。
「君たちはこの終わった世界で突如目覚め、宛てのない旅に旅立たされたドールだ。危険も、喜びも、悲しみも共に分かち合い、姉妹としての絆を深めてきた。
旅の途中、君たちはアンデッド兵の襲撃にあい荒廃した町に逃げこむ。背後から降り注がれる銃弾は身体をかすっていく。このままでは遠からず君たちは肉塊へと戻ることだろう。なんとか反撃の機を伺わなくては!」
このまま反撃に打って出るか、一旦どこかに隠れるかを選択できます。
どこかに隠れないかぎり、会話判定はできません。
反撃に打って出る場合は、即戦闘を開始してください。
※反撃にでたとき、良いロールがあれば戦争に関連した記憶のカケラをあげるのもいいでしょう。
会話判定をしたい、また隠れる場所を探したい(あるいは何ができるか聞かれた場合)は
隠れる場所を探せる旨をドールに伝えて下さい。
成功した場合は、近くに身を隠せそうな廃ビルを見つけることができます。
身を隠せば暫くはアンデッドたちをやりすごせそうです。ここに入れば会話も落ち着いてできることを伝えましょう。また、同時にここからの反撃であれば相手の不意を打てるかもしれないことを伝えます。
敵を不意打ちしたいとドールより提案がでた(またはNCが予め伝えても構いません)場合は、以下の判定を行って下さい
成功した場合、戦闘開始時敵アンデッド全員の最大行動値-は1した状態となります。
(2ターン目からは場合は通常の最大行動値に戻ります)
ドールたちがが戦闘開始の意思を示した時点で戦闘開始となります。
バトルパート
勝利条件「敵の全滅」
追加カルマ 「敵を殲滅する(戦闘勝利で達成)」
敵構成は後述するエネミーセットを参考にしてください。
戦闘終了後はパーツの回復を行わずに即エンディングパートに移行します。
ドール達に渡すパーツはこの戦闘ではありません。
エンディングパート
戦闘終了後、回復は行わない旨をドールたちに伝えたら以下を読み上げます。
「激しい戦闘が終了し、キミたちは少なくない損傷を受けた・・・そしていつものように相手の肉を使って修復作業をしようとしたところ、誰かの視線を感じることに気がついた。それは近くのビル影からのようだ」
「見る」と宣言すればそれが誰かみることができます。特に判定は必要ありません。
見ない場合は相手から姿を現します。
「現れるのは少年のゾンビです。ふらふらとゆっくりと、傷ついたドールたちに向かって歩いてきます。
手には大きなカバンを抱えて、ドールたちの目の前にそのカバンをおく」
少年ゾンビはレギオンのゾンビと同じく、知性はありません。話しかけられても「あー・・・うー・・・」としか答えません。彼自身の意思の疎通は、全てボディランゲージ(身体を動かす描写で)伝えて下さい。
※「あーう?」「あう!」といった言葉にならない言葉で感情を表すのはありです。むしろ推奨です。
彼に名前を聞く場合は「スパ・・・ロウ・・・」と答えます。彼は自分の名前だけは名乗れます。
ドールたちが特になにもアクションを起こさないなら少年はカバンを開けます。このカバンをドールたちが開けようとした場合、特に何のしかけもなく開きます。
中には戦場ではまず手にはいらないような綺麗なパーツが入っています。
スワロウはパーツを取り出し、特に損傷が酷いドール(その戦闘で一番ダメージを受けたドール)にくっつけようとします。
スワロウはドールたちと敵対しません。ドールたちにこのパーツで修理しろ、といっているつもりらしい、ということを伝えてあげて下さい。また、何かしかけがないか訝しむ場合はなにの仕掛けもないことを明言しても構いません。
(基本・強化を問いません)
ただしその場合、使わなかったパーツをもったスワロウはとてもしょんぼりします
なお、ドールたちが戦闘で無傷だった場合、パーツをくっつけようとしたスワロウはくっつける場所がみつからないので暫くドールたちの間をぐるぐるしながらやっぱりくっつける場所がないのでしょんぼりします。
前述していますがNCはドールが彼に語りかけても決して自分の名前である「スワロウ」以外の言葉は発しないでください。「あーうー」や「あー?」といった言葉で返しましょう。
ただし、スワロウは自分がもってきたパーツでドール達が修復をするとにとても嬉しそうな笑顔を見せます(もっとも、ゾンビの嬉しそうな顔なのでお察しです)
全員の修復ができたことを見届けると、彼は特に損傷が酷かったドール1人(しょんぼりモードのときは彼に好意的な対応をしたドールや、一番年下のドールでもいいでしょう)の手をひいてどこかに案内しようとします。
描写としてはこんな感じです。
「スワロウは(手ををひいているドール)の手をひっぱりながらあなたたちをどこかにつれていこうとしています。その様子はどことなく嬉しそうに見えます。このまま彼についていけば、なぜ彼がパーツをもち、ドールたちを直そうとしたのか、その理由がわかるでしょう。」
ここで前半が終了です。寵愛点の精算、成長を行って下さい。
※バトルパートで得られる寵愛点は10点です。
アドベンチャーカルマは戦闘に勝利することで自動的に達成します。
またバトルカルマも達成するため、最低14点がドールに与えられます。
※ドールたちはスワロウに対して未練を取得することができます。
「姉妹」「中立」を推奨します。
後半パート
後半カルマ
「XXX」→※ドールには非公開と伝えて下さい。「王子、またはスワロウ、または両方の戦闘終了時生存」実際のカルマです。
「記憶のカケラを取得する」
アドベンチャーパート
シーンはスワロウに案内されたドールたちが街はずれにある工場(プラント)を見つけるところから始まります。冒頭で以下の文を読み上げて下さい。
「君たちはスワロウに手をひかれながら街外れまでやってきた。向かう先には工場がみえる。どうやらスワロウはこの工場に君たちを連れて行きたいようだ。」
工場はところどころに破壊の痕跡はありますが、比較的綺麗な状態で残っています。
スワロウはドールの手をひき、どんどん工場にむかっています。どうやらこの工場にドールを連れて行きたいようです。NCはずんずんスワロウにドールの手を引かせて工場にむかわせると良いでしょう。
もし、工場に入る前に外から見た様子を知りたければ、以下で行動判定してください。
成功した場合は、工場から灯りがもれているのが見えます。また、「ゴゥン・・・ゴゥン・・・」という音が聞こえます。NCは、この工場は未だ持って稼働していることを伝えて下さい。
失敗した場合もどんどん近くにいけばこの情報はおのずとわかるので適当なところで言ってしまってもよいです。
工場の入り口はオートロックの自動扉です。特に仕掛けもなく、スワロウが何やら操作すると自動的に扉は開きます。スワロウは中に連れて行くためにまたドールの手を引いていきます。
工場の中はいたるところで機械が稼働して何かを作っています。いわゆるライン工場です。
入ってきたところはメインの作業場のようです。
コンベアーが流れ作業で何かを製造しており、それらが右の部屋と左の部屋に流れていくのがわかります。それとは別にも中央奥に扉があります。スワロウはこの中央扉の方へドールたちを連れて行こうとします。
ドールたちが他の行動をする際はスワロウを一旦とめて「はやくいこうよぅ!」みたいなアクションをさせてあげてください。(かといってドールたちの行動を止めるようなことはしません。)
ドールたちがなにもしないなら、そのまま中央扉までつれていきまます。
この場面で、ドールたちができるのは以下のことです。NCは予めドールたちにこのことを伝えてしまって構いません。
成功すればラインに乗っているのが人の足であり腕であり頭であり・・・・・・つまり、ドーのパーツが が作成されていることがわかります。
これらのパーツをみても狂気判定は発生しません。(前半パートで既に見ていますし、綺麗な状態なので)
ラインにあるパーツが流れていく右の部屋と左の部屋へは、ドールたちもいくことができます。
部屋の様子は以下の通りです。
右の部屋:腕、身体、脚・・・などの外見的なパーツの置き場です。狂気判定は発生しません。
左の部屋:頭、骨の他にはらわたなどの内蔵パーツがおかれています。ホルマリン漬けのグロテスクなパーツなどもおいているので、見た瞬間驚いてしまうでしょう。狂気判定が発生します。(修正はなしで判定して下さい。)
特にドールたちが行動しない場合、また他の行動をした場合も最終的にスワロウは中央扉前にドール達を連れて行きます。
入り口はスワロウが入り口横にあるコントロールパネルを操作すると開きます。
特に仕掛けはありません。
部屋に入ると、そこはコンピュータルームです。今でも稼働しているらしく、いたるところでモニターやランプが点滅しています。
ドールたちが入ってくると、「スワロウかい?お帰り」と中央のモニターから若い男性の声がします。
ドールたちが声をかける(あるいはコンピュータがドールたちに気付くロールをNCがしてもいいでしょう)と、「おや?・・・ああ、お客さんを連れてきたんだね。こんにちは。お嬢さんたち」とモニターが明滅しながら答えます。
ここでドールたちにこのどうやらこのコンピュータはキミたちと会話できるらしいということを伝えて下さい。
コンピュータは主に次のようなやりとりをドールたちと行えます
あなたは誰?:「僕かい?僕は・・・そうだね、ここにいた人たちは”王子”と僕を呼んでいた」
この工場でなにをしているの?:「僕はこの工場の管理コンピュータだよ。ネクロマンシーをプログラミングされたね」
この工場はなんでパーツを作成しているの?:「ああ、作業上をみてきたんだね。ここはアンデッドの製造工場だったんだ。・・・今は少し、違うけどね」
違うって?:「ああ、ここはね、今は君たちのような、ドールのパーツを作っているんだよ。」
コレ以外にもドールから質問があればこの工場のことと、それからスワロウのことは答えて構いません。
※スワロウは、傷ついたドールたちを助ける手伝いをしてもらうために、王子が作り出したゾンビです。
いくつかのやりとり後、以下の説明を読み上げます。
「ここはかつてアンデット工場でした。ネクロマンシー技術をプログラミングされた王子は、ここでずっとアンデッドを製造していました。けれども、出て行っては肉塊になって戻ってくるアンデッドたちを見ているうちに、彼はなんだかとても寂しさを感じるようになったのです。・・・そのうち、工場からは生きた人々がいなくなりました。1人、また1人。最後には王子一人だけ。永い時間、ずっと王子は一人でいました。
工場は動いているけれど、たまに見るのは壁の隙間から隙間を走る虫、ネズミたちくらい。
――永い月日がたったある日、工場に逃げ込んできた傷だらけのドールたちを彼は助けます。
傷ついたドールたちを修復した王子。
彼女たちはにっこりと王子に微笑みました。
その笑顔をみたとき、機械であるはずの彼になんとも言えない温かい気持ちが生まれたました。
それからというもの、彼は工場でドールのためにパーツを作り始めました。彼女たちを工場に導くために相棒となるスワロウを作り、傷ついたドールたちを見つけては、この工場に連れてこさせて彼女たちを助けていたのです。」
これを踏まえてのドールたちとの会話は下記を参考にしてください。
そのドールたちはどこにいってしまったの?:「みんな、いってしまったよ・・・」と寂しそうに王子は答えます。「あの子たちは旅の途中だもの、僕に引き止めることはできないよ。君たちだって、そうだろう?」「みんなみんな、僕たちにお礼をいって、この工場から出ていってしまうんだ。」
ある程度会話をしたら、ブザー音がなります。スワロウがモニターの一つを指さすと、そこにはズタズタになった少女が映っています。
「これは・・・?スワロウ、ちょっと見てきてくれるかな?」と王子は言い、スワロウを入り口に行くよう指示すると同時に「すまない、君たちもスワロウと一緒に様子を見に行ってくれないか」ドールたちにお願いします。ドール達をスワロウと一緒に様子を見に行くように誘導してください。
入り口までいくとボロボロになった少女がいます。
彼女がどんな様子なのか調べるなら行動判定(視覚関連利用可)をします。
成功で彼女の四肢に細い糸のようなものがまとわりついてるのがわかります。
彼女はゆっくり、壊れた人形のようにこちらに近づいています。
スワロウはパーツをもって、彼女に近寄ります。
この際、スワロウについていくかをドールたちに聞いてください。全員ついていかなかくても良いですし、一人だけついていっても問題ありません。
少女に声をかけても「あ・・・あ・・・た、たすけて・・・」としか答えません。
スワロウが少女の目の前までいき、パーツをくっつけようとすると、少女は「あ・・・あ・・・たすけ・・・たすけてたすけてたすけてたすけてたすけて!」絶叫とともに彼女の口から大量の羽虫が吐出されます。
遠くから様子をみているドールは平目、スワロウと一緒にいっているドールは-2で狂気判定を行って下さい。
さらに羽虫はスワロウと(一緒にいっているドールがいるなら)ドールたちに張り付いてきます。
側にいたドールがいるならスワロウを庇うかどうか選ばせて下さい。
無条件で任意の箇所に2点ダメージを受けます。防御マニューバは利用できません。
ダメージは分散して受けても良いです。
スワロウは少しかじられてしまいますが大きな傷を追うことはありません。
あわせるかのように壁の隙間から無数の虫たちが一斉に這い出してきます。
そして、生産中のパーツを食い荒らし始めます。その光景は凄惨の一言。
ドールたちにさらに狂気判定をさせて下さい。(平目)
判定を(肉体系マニューバ使用可能)+1でしてください。失敗した場合、任意の箇所に2点ダメージを受けます、防御マニューバは利用できません。
スワロウには大量の虫が張り付き、彼の身体に噛み付き喰らい始めます。彼は絶叫を上げて転がりますが、虫たちはどんどん彼に群がっていきます。
ドールたちが何もしなければこのままスワロウは虫に食いつくされてしまいます。
助けるなら肉体マニューバを使って平目で判定してください。
この際、武器マニューバを使うなら+1修正されます。ただし、武器を使って大成功した場合、
虫もろともスワロウは肉塊へと代わります。NCは必ずドールにこのことを伝えた上で選択させて下さい。
失敗した場合もスワロウは虫に食いつくされてしまいます。
庇う場合、庇わない場合、ともに処理が終了した後けたたましいサイレン音が鳴り響き、スピーカーからノイズ混じりの王子の声が聞こえてきます。
「虫が・・・大量の虫が・・・このままじゃ、危ない、はや、く、にげ・・・」
スワロウが生きている場合、周りのドールたちの静止も聞かず王子のいるコンピュータールームに向かおうとします。スワロウを追うために、ドールたちをコンピュータルームに誘導してください。
スワロウがすでに肉塊になっている場合も、ドールたちをそのままコンピュータルームに誘導してください。
誘導の際は以下を読み上げて下さい。
「虫たちは工場の様々なところから湧いている。正面の入り口からは巨大な虫達が次々と入り込み、巨大な壁のようになっている・・・今のままではここから出ることはできない。このままではいずれ皆食いつくされてしまうだろう。今の状況ではコンピュータルームに戻るしか無い。」
コンピュータルームでは、スワロウがいるかどうかで状況が変わります。
コンピュータルームに入ると、スワロウは王子(メインコンピュータ)にすがりつき、がむしゃらに虫を払いのけようとします。その間にも彼は虫に食われているのですがそんなことは気にもしないようです。
以下を読み上げて下さい
「コンピュータルームの中も大量の虫が湧き出ています。壁の隙間だけでなく、機械と機械のあいだからも、虫達は溢れだし、そしてケーブルや内部の機械を噛み砕いています。
スワロウは王子に取り付き、虫達を払いのける。自らの身体が虫に食われようと気にせず、王子を守るため、虫を払いのけ続けます。それでも虫たちは湧き続けます。」
スワロウはドールたちに気づくと、必死にドールたちに何かを伝えようとします。
「あう!」「あう!あーう!」助けてほしい気持ちを一生懸命ドールたちに伝えて下さい。
その上で、以下を読み上げます。
「彼はあなたたちに助けを求めます。”あう!””あーう!”
けれども知性のないゾンビに過ぎない彼には、あなたたちに言葉を伝えることはできません。
そう、喋ることができない。彼はアンデッドなのだから。
それでも彼は叫びます・・・あなたたちは、光のない彼の瞳から、何かがこぼれるのに気付きます。
そして、彼は言います。
『タ・ス・ケ・テ』
『オ・ウ・ジ・マ・モ・ッ・テ』
」
同時に、扉が破られ、コンピュータルームに虫の大軍が現れます。
「大きな音とともにコンピュータルームの扉が破られます。
このまま何もしなければ君たちは虫達にくらい尽くされてしまうでしょう。
逃げ場はない。
もう、戦うしかない。」
戦闘カルマ(=後半パートのアドベンチャーカルマ「王子、またはスワロウ、または両方の戦闘終了時生存」)を伝え、戦闘を開始してください。
コンピュータルームに戻ると、王子(コンピュータ)の中からも虫が湧き出し、
いたるところの配線が食い荒らされています。
以下を読み上げて下さい。
「コンピュータルームの中も大量の虫が湧き出ています。
火花を散らすコンピュータ、そんな中でもあなたたちを認識した王子は
『逃げて・・・君たちだけでも・・・』
『もう、僕は、もう・・・おねがいだ、君たちだけは、どうか・・・』
そう言いながら沈黙します。」
同時に、扉が破られ、コンピュータルームに虫の大軍が現れます。
「大きな音とともにコンピュータルームの扉が破られます。
このまま何もしなければ君たちは虫達にくらい尽くされてしまうでしょう。
逃げ場はない。
もう、戦うしかない。」
カルマ(王子を守る)を伝え戦闘を開始してください
バトルパート
勝利条件:敵の全滅
カルマ:王子、またはスワロウ、または両方の戦闘終了時生存
スワロウ・王子はそれぞれ1体しかいませんがレギオン扱いとします。
データは以下の通りです。
スワロウ 最大行動値 8 10体(条件によっては3体)のゾンビ扱い 【よろめく】 アクション 消費コスト3 移動1 【かばう】 ダメージ 射程0-1 対象のダメージを肩代わりする
王子 最大行動値 0 5体のレギオン扱い ※王子は戦闘中何もすることができない
・スワロウを庇い、一緒にコンピュータルームに戻った場合
スワロウの初期配置は「最後に一番近くにいたドールと同じ場所」です。
※作戦による配置移動の場合もこの配置条件は適用されます。
スワロウの初期体力10です。
・スワロウを庇わず肉塊にして、コンピュータルームに戻った場合
スワロウはいません。
王子はどの状態でも花園固定、体力は5です。
スワロウは通常のゾンビと異なり、【ひきさく】【むらがる】をもっていません。
その代わり【かばう】をもっています。ただし、彼の行動は基本的に王子の方向にいき、かばえる場合は王子を必ず庇います(スウォームがいますが、無差別攻撃をスワロウ
王子が同じ場所にいる状態で行うとスワロウに2点ダメージが入ります。王子にはいれないでください。)
手駒構成については文末を御覧ください。
手駒の使い方はNCにお任せします。
スウォームはその場で無差別攻撃、アポルシオンはスワロウを狙うといいでしょう。
エンディングパート
エンディングパートに入ったら以下を読み上げます。
「戦いが終わると、潮を引くように虫達が散っていきます。どうやらあなたたちが倒した巨大な虫(パペットマスター)が虫達の司令塔だったようです。しかし工場は破壊され、生産されていたパーツは食い荒らされ、もはや見る影はありません。
『あーう』スワロウが王子に話しかけます。
王子は答えません。
『あう、あう』何度も何度もスワロウは呼びかけます。
王子は答えません。
暫く考え込んだスワロウはふとなにかに気づくと『あう!』と一声、倉庫へと向かいました。
そして戻って来た彼の手の中には、ボロボロになったパーツ。
彼はそのパーツを、王子にくっつけようとします。
王子はすでに機能を停止しています。それでもスワロウはドールと同じように治せると思い、ボロボロになったパーツを王子にくっつけようとするのです。
当然、王子がそれで修理されることはありません。
」
ドールたちはスワロウをそのまま連れて行くこともできます。
その場合は彼を「たからもの」として加えて下さい(彼はあくまでもレギオンのゾンビです。ドールたちの姉妹になることはありません)
連れて行く場合、彼は、こういいます。
「ツ・レ・テ・ッ・テ・?」
スワロウが生き残っていることが前提であり、このシナリオの本筋です。
もし、スワロウが食われてしまっている場合は以下を読み上げ、シナリオは終了となります。
「戦いが終わると、潮を引くように虫達が散っていきます。どうやらあなたたちが倒した巨大な虫(パペットマスター)が虫達の司令塔だったようです。しかし工場は破壊され、生産されていたパーツは食い荒らされ、もはや見る影はありません。
王子は機能を停止してしまったようです。何を話しても反応はありません。
工場は、静寂だけが支配しています。
この工場に残るものはもうなにもありません。あなたたちは静かに、工場をさるのでした」
お疲れ様でした。
物語の最後に
スワロウを連れて行くドールたちに、最後にこの言葉を伝えてください。
「王子はドールたちの笑顔を見ることが幸せでした。
スワロウは、王子のそばにいることが幸せでした。
2人とも、あなたたちの幸せを祈っていました。
全てが終わった世界でもあなたたちの幸せを願うものがいます。
それがとても脆く、儚いものだとしても、それはドールたちとって1つの支えとなるはずです。
明日からは、また、終わらない旅が続くのでしょう。
けれども、ほんの一瞬、あなたたちが見せた微笑みと(もしいるならスワロウ)というたからものはきっと、あなたたちのいつ壊れるかもしれない心を支えるひとつの力になってくれることでしょう。」
願わくば、この出会いと別れの後日談が、あなたの心にも残りますように。
「幸せの王子」了
バトルパート敵構成
敵の詳細データについては、ルールブックをご覧ください。
※スウォーム、パペットマスターは「箱庭の物語」収録のレギオン、ホラーです。
「箱庭の物語」非所持の場合はスウォームをゾンビ、パペットマスターをゾンビクイーン等で
代用してください。この際、外見は虫となるよう演出してください。
前半パート 合計悪意点38点
バトルパートカルマ:敵の全滅
勝利条件:敵の全滅:
初期配置
煉獄
ハウンド 2
ゾンビ 20
地獄
ソルジャー 10
奈落
ゴライアス 2
後半パート 合計悪意点55点
カルマ:「王子、スワロウを守る」(王子、スワロウの生存で達成)
※スワロウがいない場合は王子を守ればカルマ達成です。
勝利条件:楽園にいるスウォーム以外の敵の全滅
※楽園にいるスウォームはパペットマスターを撃破しない限り無限に湧き直します
※ドールにかばう持ちがいない場合は、楽園のスウォームの湧き直しをなしにしても構いません。
初期配置
楽園 スウォーム 10
花園 スゥォーム 15
煉獄 スゥォーム 15
操られた少女(アポルシオン密集体→アポルオン拡散体)
※アポルシオンには第二形態が存在します。
地獄 操られた少女(ネメシス)
奈落 パペットマスター
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